研究課題/領域番号 |
16K15345
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大坪 隆 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70262425)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | TOF-PET / チェレンコフ光 / 時間分解能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はTOF-PET用検出器用を目標として、これまで重粒子ビーム用に開発してきたチェレンコフ光時間検出器を利用した高時間分解能光子検出器を開発するものである。今年度は高屈折率ガラス等を媒質としたチェレンコフ光検出器を作成し、対消滅γ線について以下の二点について調べることを目標とした。 1. γ線に対する検出効率の測定とその向上。 2. γ線に対する時間分解能の測定のその向上。 まず1に関して、重イオン高時間分解能検出器として我々が使用してきた実績のある高屈折ガラスを用いたチェレンコフ光検出器を作成し、NaIとの同時係数測定をすることでNaIに対する検出効率を求めた。光検出器としては同様に実績のあるメタルチャンネル型PMT(浜松ホトニクスR11265U-200)を使用し、ブロック形状の高屈折ガラスをグリースで接着した。線源には22Naを用い、対消滅γ線をNaIとチェレンコフ光検出で同時計数した。このとき、NaIの立体角が、チェレンコフ光に対し十分な立体角を持つように設置した。NaIでエネルギースペクトル測定も行い、、チェレンコフ光での閾値以上の係数と、NaIの511keVのピーク測定の比較から、NaIと比較して約10%程度の効率を持つことを確認した。効率の向上に関しては、鉛ガラスなど別の媒質でのテストを今後行っていく予定である。 次に2に関して、上記と同じチェレンコフ光検出器を作成し、両者の時間差測定から時間分解能を調べるシステムを構築した。しかし測定を開始後、データ取得(DAQ)システムのコンピュータが不調のため使用不能となってしまった。現在、別のPCで環境を整備しており、整い次第、時間分解能測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで重イオンビーム(Ni, Kr, Xe 1核子当たり300MeV以上)の飛行時間測定で時間分解能10psの実績のある、高屈折率ガラスチェレンコフ光検出器について、γ線での検出テストを行った。22Naを用いたテストではNaIとの同時係数を行い、NaIに対し10%程度の検出効率を持つことを確かめた。次に同じ高屈折率ガラスを用いた二組の検出器を準備し、時間差測定から時間分解能を測定するテストシステムを構築した。しかしデータ取得(DAQ)システムのコンピュータがトラブルのため使用不能となってしまった。現在このコンピュータシステムを更新し環境構築中であるが、手間取っており構築次第再開する予定である。 このため、性能確認後に購入予定の機器予算については次年度に繰り下げている。
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今後の研究の推進方策 |
早急にDAQシステムを復帰し、高屈折ガラスでのγ線に対する時間分解能を評価する。また他の媒質物質についても検出効率及び時間分解能の比較を行い、TOF-PETの要求が満たされる条件を見つける。
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次年度使用額が生じた理由 |
支払が4月になったためであり、速やかに執行される。
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次年度使用額の使用計画 |
支払が4月になったためであり、速やかに執行される予定。
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