研究課題/領域番号 |
16K15350
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
南 一幸 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (10298515)
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研究分担者 |
鈴木 昇一 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (10196826)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | X線源 / 焦電体 / 紫外レーザ / サーモグラフィ / 温度 |
研究実績の概要 |
我々が研究をしている焦電体を用いたX線源は、焦電体から電子を放出させるためにヒーター等の加熱装置を用いて焦電体を加熱するのではなく、紫外レーザを焦電体に照射することで電子を発生させていることが特徴である。ただし、紫外レーザによって焦電体が高温になることで電子が発生している場合は加熱装置を用いていることと同じになり、本研究の特徴である紫外レーザ利用の有用性が低下する。 平成28年度は、焦電体型のX線源の試作機を作成し、紫外レーザの照射によってX線源よりX線発生中に、焦電体の温度変化を測定することを目的とした。焦電体の温度変化は、サーモグラフィ(フルーク製Ti27:温度測定範囲-20~+600℃)と熱電対を用いて行った。焦電体型X線源の本体は、サーモグラフィによってX線源内部の焦電体の温度測定が行えるようにフッ化カルシウム窓を取り付けて作成した。熱電対は焦電体に取り付け、X線源の外部で測定できるように設計した。X線源に取り付けた焦電体は、直径1cm、長さ0.6cmのLiNbO3の結晶を用いた。 実験では、紫外パルスレーザ(波長266nm)を試作機の焦電体型X線源に照射することで、X線の発生をGM計数管で観測した。その時のサーモグラフィによる焦電体の温度変化は、紫外パルスレーザの照射前は室温(約22℃)であったものの、レーザ照射により徐々に上昇し、約30分後には40 ℃程度となった。熱電対による焦電体の温度変化もサーモグラフィとほぼ同様の結果となった。この結果より、紫外パルスレーザの照射により焦電体の温度上昇が生じるが、焦電体の電子放出にヒーターほどの高熱が必要でないことが実証できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、概ね予定通りの進捗状況であった。焦電体型X線源の試作機の作成では、X線源内部の焦電体をサーモグラフィにて温度が測定できるように、観測用の窓材質の検討を慎重に進めた。 年度当初は、使用を予定していた紫外レーザ装置の出力低下により急遽修理が必要となったものの、焦電体型X線源の試作機を11月頃までに作成し、12月~1月にかけて焦電体の温度測定を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、焦電体型X線源に用いる紫外レーザ装置の出力の変化、あるいはX線源から放出されるX線量を増加させたときにおける焦電体の温度測定を実施する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
焦電体結晶の追加購入を予定していたが、注文時の在庫状況により少量の結晶注文の場合、購入金額が大きく変動することがあるため、翌年度にまとめて購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に焦電体結晶のLiTaO3とLiNbO3結晶の購入費として使用予定。
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