研究実績の概要 |
高崎量子応用研究所に設置されたAVFサイクロトロンによるイオンビーム照射で、At-211を製造し、生成したAt-211溶液を分析したところ、At-211由来のガンマ線(687 keV)と娘核種(Po-211)由来のガンマ線(570 keV, 898 keV)が放射線検出器で計測可能であることを確認した。ただし、放出割合は1壊変当たり2%程度と微量であるため、この3種類のガンマ線検出に特化した、感度を重視したコンプトンカメラを近年開発されたシンチレータを用いて試作することとした。 シンチレータは、散乱体および吸収体ともに光収率の高いGAGG(gadolinium aluminum gallium garnet, Ce:Gd3Al2Ga3O12)を用いた。光検出器は、散乱体にはシリコンフォトマル、吸収体にはマルチアノード光電子増倍管を用いた。さらに、コストを抑えるため、信号処理にはPET(positron emission tomography)装置用の電子回路を転用した。撮像能力を評価するため、Mn-54(835 keV)点線源を用いた撮像試験を行った。取得したデータの画像化には単純逆投影に加え、リストモードML-EM(maximum likelihood expectation maximization)法を用いた。単純逆投影、リストモードML-EM法ともに、視野中心または視野中心外の位置に置いた点線源の位置をそれぞれ画像化することに成功した。
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