研究実績の概要 |
本研究はリンパ系腫瘍を専門とする病理医による詳細分類を基盤に、これまでの研究にはない組織分類別リンパ系腫瘍の放射線被ばくによる発症リスク特性を明らかにする事を目的としている。2年目となる本年度は、昨年度までに確定した長崎県がん登録中の悪性リンパ腫症例11,378件の個別データと被ばく者データベースとのリンケージが終了したデータセットについて、研究分担者と病理学的観点・病因起因性の確実性の観点から組織分類をグルーピングする根拠について議論したあと、信頼性レベル分け作業を行った。その結果、最終的に11,124例(男5,981例, 女5,143例)の最終データセットを固定し、発症部位・発症年齢・組織型発生頻度などについて一般集団と原爆被ばく者集団を比較する疫学解析用データ加工作業を進めた。並行して、研究開始前に予想していなかった重複悪性リンパ腫 (49例)についても詳細な解析を行った。うち原爆被爆者の症例は6例であった。全悪性リンパ腫発症者中の重複リンパ腫発生の頻度は0.44% (95%CI, 0.32~0.56%)、男性0.50% (95%CI, 0.35~0.72%) 、女性0.37% (95%CI, 0.20~0.54%) であり、男女比のOdds 比は1.36 (95%CI, 0.76~2.42; P=0.29)であった。 第1―第2リンパ腫の組み合わせで最も頻度が多かったのはMarginal Zone Lymphoma―Diffuse large B cell lymphomaであった。更に、Composite/Discordance type, Sequential typeに区分けして重複パターンを詳細に解析し、国際学会で公表した。
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