研究実績の概要 |
本研究はリンパ系腫瘍の詳細分類を基に、放射線被ばくによるリンパ系腫瘍の発症リスク特性を明らかにする事を目的とする。3年目の本年度は、B・T区分や細胞成熟度の分布を解析後、被爆状況別に比較するため、まず、重複悪性リンパ腫例の処理方法を検討した。これらの症例は本研究の目的であるB・T区分や成熟度区分が困難であるため、「重複悪性リンパ腫」という新規カテゴリーとして処理し、最終的に11,112例(男5,978, 女5,134)の解析データセットを再構築した。このデータセットを用いてCell-lineage, Cell-maturityの分布を男女別・診断時年齢別に検討した。B-cell lineage/Maturityはprecursor B (B1), mature B (B2), other B (B3)の3群、T-cell lineage/Maturityはprecursor T (T1), mature T/NK (T2)の2群に分類し, 残りはundetermined cell-lineage NHL (U), HL (H) とその他 (O)に分類した。Cell-lineage/maturity分布は、男女別ではB2とT2の割合が女性多い傾向にあったが有意ではなかった。診断時年齢グループ別ではB2とT2の割合が70歳以上群に有意に多かった。これらの結果は2019年3月の国際学会で公表した。さらに症例の背景を被ばく集団と非被ばく集団に分けて比較すると、前者で女性の割合が有意に多かったが、診断時年齢とB/T比には差がなかった。被ばく距離・被ばく時年齢の違いによるCell-lineage, Cell-maturityの分布の差異については時間を要するため、次年度に研究期間を延長して詳細に検討することにした。
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