研究課題
今年度は昨年度より引き続いて、被検者の前額部と顎部からの光電脈波を眼底写真の撮影に同期させる生体信号として計測する方法を探索した。この結果、複数の被験者で、反射型により安定した生体信号の計測が実現できることを確認したが、デバイスの眼底カメラシステムへの組込みに関して技術面で想定外の困難が生じ、今年度中に問題を解決できず次年度の課題となった。一方、大迫地域住民コホートにおける本研究開発デバイスの適用に向けて、1997年から1998年にかけて収集した大迫地区食事頻度調査の情報を日本版食品抗酸化能データベースと連携させた上で、眼疾患との関連について文献的検討を行った。食品抗酸化能データベースは、食品番号と抗酸化能測定値が一対一対応していることから、大迫コホートで実施された食事頻度調査からも抗酸化能摂取総量を推算することが可能となっている。本検討の結果、抗酸化能と動脈硬化指標との関連については、眼底動静脈の情報を活用することで従来よりも精緻な検証が可能になると見込まれ、本研究開発デバイスによる住民の眼底所見収集の目的の一つに据えられた。加えて、食事調査情報の収集時期が 20年以上前と古く、現代の日本人の食生活を十分に反映しなくなって来ている恐れがあることから、大迫住民に対して食事頻度だけでなく生活全般についての悉皆的なアンケート調査を計画した。今年度は共同研究者や研究協力者による多方面からの検討を経て、来年度の実施に向けて実務面の計画作りを進めた。
3: やや遅れている
今年度中にデバイスの開発と実地試験を完了する予定であったが、実績概要で述べたようにデバイスを眼底カメラシステムへ実際に組込む段階になって技術面での困難が生じ、その解決のために研究期間を延長するに至った。一方、デバイス自体の開発は順調に進み、安定した計測を実現することができた。
研究機関を延長した来年度において、本研究開発デバイスの実証試験を行い、一般住民における精緻な眼底動静脈径情報を収集する。その結果と、来年度に実施を予定している大迫悉皆調査から得た動脈硬化関連指標ならびに生活習慣関連情報とを組み合わせて、抗酸化能と血圧・動脈硬化との関連についての分析や、眼底情報の新規の有用性についての探索的分析を行う。
本研究開発デバイスの実証試験を完了することができなかったため、研究期間を次年度まで延長し、次年度中に残額を使用して研究を完了する計画とした。
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