研究課題/領域番号 |
16K15361
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
久保 達彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (00446121)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 交代制勤務 / 疫学 |
研究実績の概要 |
平成28年度は取得された特定健診データと就業履歴データの2つのデータを利用した解析を開始した。着目した点として、交代制勤務の勤務スケジュール毎の健康影響の差に関するエビデンスは未だ不足している。更に既存の交代制勤務従事に伴う健康影響の評価研究において①長期就業歴把握が困難(information bias)、②健康な者が交代制勤務者に選別されるいわゆるHealthy Worker Effect(selection bias)、③交代制勤務従事者と日勤者の社会経済的格差が結果に与える影響を無視できない(confounding)、という共通的な課題がある。これらの課題に包括的に対処するために、企業が労働安全衛生法に基づき実施し、蓄積している健診情報および深夜業就業履歴情報を取得し、後ろ向きコホート研究のデザインを採用したデータセットを構築した。 解析のテーマとしては、異なる複数の生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症)をアウトカムとして、交代制勤務スケジュールの違い、具体的には24時時間2交代勤務(夜間勤務が12時間)と24時時間3交代勤務(夜間勤務8時間)があたえる影響の差に着目した解析を実施している。実証する仮説としては、勤務スケジュールの健康影響がアウトカムとして設定された生活習慣病毎に異なるという仮説を立てており、今後、解析をさらに深堀りして、論文化可能な科学的に頑健な知見を見出してく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
企業が保有する定期健診データと就業履歴データは取得できており研究は開始できているが、一方、健康保険組合からのレセプトデータの取得に時間を要しており、医療費に関するデータ解析は実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き健康保険組合からのデータ取得につとめ、学術的な価値がより高い研究成果を生み出すことを目指す。一方、同データが取得できない現状においても、既に取得された企業が保有する定期健診データと就業履歴データの両データで実施可能な解析は継続し、論文化などの研究活動は遅滞なく進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
健康保険組合からのレセプトデータの取得に時間を要している状況から、同データの管理に必要な支出を制限したため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き健康保険組合からのレセプトデータの取得に努め、取得された際には遅滞なく同データ管理にかかる研究活動および支出を行う。
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