研究課題
大気中に浮遊する天然放射性核種のラドン(Rn-222)は喫煙に次ぐ肺がんのリスク因子であることは国際的に認識されている。実際には、吸入摂取による被ばく線量の大部分はラドンが壊変して生成される子孫核種によるとされている。これらは体内(温度37℃、湿度100%)に取り込まれるとその性状が変化するため、線量評価をする際に影響を及ぼすと考えられている。本研究では、大気中に浮遊する放射性微粒子が体内環境において物理的にどのような変化を起こすのか定量的に検証するための実験場を構築した。放射性微粒子を生成するための放射線源として、ランタンマントルを用いた。ランタンマントルからは半減期が非常に短く、アルファ壊変により放射性の固体粒子へ変化するトロン(Rn-220)が放出される。エアロゾルは、塩化ナトリウムを純水に溶かした溶液を作成し、エアロゾル生成器を用いて溶液を噴霧し乾燥させることで生成した。実験場の性能評価を行った結果、放射線源から放出するトロンの放射能濃度は、加湿によって乾燥状態の10倍程度まで変化させることができることが確認された。さらに、トロンの放射能濃度は数日間にわたり安定させることが可能であった。エアロゾルの発生実験の結果、多分散エアロゾルの生成に成功した。次に、塩化ナトリウム溶液の濃度を変化させたところ、中央径で59 nmから112 nmの間で粒径を制御することができた。また、放射性固体粒子であるトロンの子孫核種と塩化ナトリウムを用いて発生させたエアロゾルとをステンレス容器内で混合させ、放射性微粒子の生成に成功した。そこで、ステンレス容器から大容量の曝露容器(約500 L)内へと放射性微粒子を封入したところ、その放射能濃度、エアロゾル個数濃度及び中央径を24時間程度安定させることを可能とした。さらに、曝露容器内の湿度も24時間程度は一定に保つことができた。
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