研究課題/領域番号 |
16K15376
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小田中 瑞夕 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00510281)
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研究分担者 |
今井 優樹 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30440936)
山崎 小百合 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70567255)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 紫外線 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
我々は近年、マウスに紫外線を照射することによって皮膚の制御性T細胞が著しく増加するという現象を見いだした。制御性T細胞とは、CD4陽性Foxp3陽性の細胞集団で、過剰な免疫応答を抑制し、免疫系の恒常性を維持する働きを持ち、自己免疫疾患やアレルギーを制御する上で重要な役割を担っている細胞である。紫外線照射は、乾癬やアトピー性皮膚炎の患者に照射すると症状が軽快するため、皮膚科領域では治療法の一つとして用いられている。即ち我々が見いだした、「紫外線が制御性T細胞を誘導する」という現象は、紫外線という環境要因が免疫系を大きく制御する可能性を示唆する結果である。 一方で近年、乳幼児期の環境要因(微生物への曝露など)と免疫系の発達が密接に結びついていることがわかってきている。これらの事から我々は、乳幼児期に紫外線を浴びることもまた、その後の成長過程で免疫系を制御する能力を獲得するのに重要な因子となり得るのではないかと考えた。 本研究では、乳幼児期におかれた環境要因―紫外線を浴びる、即ち日光浴をすること―によって、制御性T細胞を介した免疫系制御能力を獲得し、それにより、自己免疫疾患やアレルギーの発症を予防できる可能性を明らかにすることを目的とした。 成熟マウスに500mJ/cm2の紫外線を照射すると、7日後の皮膚では、CD4陽性T細胞中の約50~60%が制御性T細胞として増加する。本年度はそのメカニズムの解明を進めた。まず、紫外線によって誘導されたマウス皮膚の制御性T細胞の表現型解析を行ったところ、紫外線照射により増える制御性T細胞は非常にユニークな表現型を持つことがわかった。 また、この増殖メカニズムにおいて、ある分子を予測し、そのノックアウトマウスを使用したが、当初の予想に反し、このマウスにおいても紫外線照射後に制御性T細胞が増加しており、WTとの有意な差は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外線照射によって誘導される制御性T細胞は非常にユニークな表現型を持つことを見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
紫外線照射により制御性T細胞が増加するメカニズムの解明を引き続き行うと共に、成長段階の異なるマウスにおける紫外線照射による免疫系制御能力獲得の解析も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスを使用した実験でWTと有意差がない結果を受け、系統維持を閉じたため、動物飼育委託費として計上していた一部に、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
別のマウスの購入または系統維持のため、次年度分に組み込み使用する。
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