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2016 年度 実施状況報告書

癌特異的代謝異常に着目した家族性乳癌の化学予防法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K15378
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

渡邉 元樹  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40723581)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードトリプルネガティブ乳癌 / 癌代謝 / グルタチオン代謝経路 / メバロン酸代謝経路 / HDAC阻害剤 / MEK阻害剤 / サラゾピリン / スタチン
研究実績の概要

本研究は家族性(遺伝性)乳癌に対する化学予防法の開発に向けての分子基盤の確立を目指すもので、癌特異的な「遺伝子異常(genomic)」と「代謝異常(non genomic)」の双方を標的とすることで、より効果的に抗腫瘍効果を誘導できるのではないかと考え、下記に示す独自の薬剤併用治療の有効性について現在検証中である。
(1)p21遺伝子を誘導するHDAC阻害剤vorinostatおよびグルタチオン代謝経路を阻害するsalazosulfapyridine(サラゾピリン)の併用効果:BRAFおよびKRAS遺伝子に活性化変異を有し、また遺伝性乳癌の大半を占めるトリプルネガティブ型を示すヒト乳癌細胞株MDA-MB-231株を用いたin vitroの実験において、両薬剤の併用により、顕著なアポトーシス誘導効果とコロニー形成能の抑制を認めた。それらの併用効果は、グルタチオン依存的な細胞内ROSの蓄積によるものであることが示された。
(2)RAF/MEK経路を阻害するMEK阻害剤trametinibおよびメバロン酸代謝経路を阻害するスタチンの併用効果:同じくMDA-MB-231株を用いたin vitroの実験において、両薬剤の併用により、顕著なアポトーシス誘導効果とコロニー形成能の抑制を認めた。それらの併用効果はメバロン酸経路依存的なAktの活性阻害によってもたらされることが示された。
以上のin vitroの実験結果から、分子標的薬による遺伝子異常に対するアプローチに加え、既存薬により癌特異的な代謝経路を阻害することで、より強い抗腫瘍効果が期待できることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HDAC阻害剤vorinostatとグルタチオン代謝経路を阻害するサラゾピリン、およびMEK阻害剤trametinibとメバロン酸代謝経路を阻害するスタチン、いずれの組み合わせにおいても、ともに薬剤併用によりアポトーシス誘導およびコロニー形成を抑制することが示された。さらにそれぞれの分子メカニズムについての解析も概ね終了しており、当初の予定通り、平成28年度分として予定していたin vitro実験計画は順調に進行した。

今後の研究の推進方策

当初の計画書通り、平成29年度は、遺伝性乳癌の原因遺伝子BRCA1の変異を持つヒト乳癌細胞株を用いて、概念検証を進めるとともに、BRCA1コンディショナルノックアウトマウスを用いて、それぞれの薬剤併用により、乳癌の発癌抑制効果がもたらされるのかどうかについて検証する。

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公開日: 2018-01-16  

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