メチル水銀(MeHg)は、脳神経系を障害する環境汚染物質である。本研究は抗MeHg剤としてのオレアノール酸3-グルコシド(OA3Glu)の分子標的の同定及びその機能解析を目的とした。MeHgは、ヒト腸管上皮細胞(Caco-2細胞)において、アミノ酸トランスポーターであるlat1とlat2の両発現を誘導したが、OA3Gluは、lat1のみを誘導した。一方、OA3GluとMeHgの同時処理では、lat1の発現が増強した。本研究により、OA3Gluの分子標的はLAT1であり、LAT1を介したシステムにより細胞内のMeHgが減少し、その結果として抗メチル水銀活性を発揮している可能性が考えられた。
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