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2016 年度 実施状況報告書

トリクロロエチレンによる全身性皮膚-肝障害はCYP2E1自己抗体により惹起される

研究課題

研究課題/領域番号 16K15383
研究機関中部大学

研究代表者

那須 民江  中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10020794)

研究分担者 山ノ下 理  中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924) [辞退]
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードトリクロロエチレン / Hypersensitivity / CYP2E1抗体 / 疫学研究 / IgG / ELISA / 自己抗体 / 免疫沈降
研究実績の概要

HepG2細胞よりRNAを抽出し、そのcDNAをtemplateとしてLA-taqを用い、プライマーでCYP2E1遺伝子を増幅し、ヒトCYP2E1を培養細胞から抽出した。anti-CYP2E1とProtein A Sepharose TM CL-4B(IgGを特異的に補足する)に混合して、免疫沈降し、anti-CYP2E1(rabbit),anti-rabbit-HRP(horseradish peroxidase)で視覚化し、CYP2E1たんぱく質を精製した。精製したものがヒトCYP2E1であることを、それぞれベクターを導入していない細胞と比較することによって確認した。次に精製したヒトCYP2E1たんぱく質を用いて、ELISA法でHypersensitivity患者とトリクロロエチレン(TRI)曝露対照者およびTRI非曝露者の血清中のCYP2E1と反応する抗体を検出する方法を確立した。プレートにCYP2E1抗体を結合させ、余分の抗体を洗い流し、血清サンプルを添加した。洗浄後、anti-HRPを添加した。再度洗浄後、発色試薬を加え、吸光度を測定した。15年間の中国との共同研究によって、77名の患者と性と年齢(±2)でマッチさせたトリクロロエチレン(TRI)曝露対照者(TRI曝露を60日以上受けたが、疾病を発症していない健康労働者)およびTRI非曝露対象者(TRIを使用していない健康診断受診者から選んだ)の血清CYP2E1抗体とIgGを測定することを計画した。まだすべてのサンプルの解析は終了していないが、患者のCYP2E1抗体は0.401±0.177、曝露対照者0.603±0.219、非曝露対照者0.241±0.088で、3群間に有意差があった。即ち、CYP2E1抗体値はTRI曝露によって上昇し、患者のようにTRI曝露から離れると低下するが、対照群レベルまでは落ちていないことが予想された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

28年度は初期の計画通りの研究ができた。まず、ヒトCYP2E1たんぱくを精製した。次に精製したヒトCYP2E1たんぱく質を用いて、ELISA法で患者と曝露対照者およびTRI非曝露者の血清中のCYP2E1と反応する抗体を検出する方法を確立した。精製したヒトCYP2E1の機能は市販CYP2E1商品と大差なかった。77名の患者と性・年齢を調整したTRI曝露対照者、TRI非曝露対照者の血清サンプリングが準備できた。一部解析は終了している。

今後の研究の推進方策

29年度は初期の計画通りの実験を行う。患者・TRI曝露対照者・TRI非曝露対照者計231名のうち、まだ未測定者の血清CYP2E1抗体とIgGを測定する。全解析が終了したところで、すでに測定してあるHAL-B*1301多型、TRI 曝露濃度、TNFαやIL10のレベル、HHV6再活性化との関連性を解析する。また、CYP2E1抗体がどこの段階でHypersensitivity発症にかかわっているか(例えばHLA-B*1301の前か後か)を考察する。

次年度使用額が生じた理由

研究が予想以上に進展したため、実験補助者を雇用する必要がなかった。そのために繰越額が発生した。

次年度使用額の使用計画

研究計画当初の分担者が死亡退職したため、短期間実験担当者を雇用して研究を行う。その雇用費に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会、トリクロロエチレン健康リスク評価作業部会報告書 トリクロロエチレンに係る健康リスク評価について2017

    • 著者名/発表者名
      青木康展、上田佳代、内山巌男、上島通浩、祖父江友孝、武林亨、中杉修身、那須民江、新田裕史、野見山哲生、山崎新
    • 雑誌名

      大気環境学会誌(J.Jpn.Soc.Environ)

      巻: 52 ページ: A25-A57

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Occupational Exposure Limits of lead, dimethylamine, n-butyl-2,3-epoxypropyl ether, and 2-ethyl-1-hexanol and carcinogenicity and occupational sensitizer classification.2016

    • 著者名/発表者名
      Azuma K, Endo G, Endo Y, Hara K, Harada K, Hori H, Horie S, Horiguchi H, Ichiba M, Ichihara G, Ikeda M, Ishitake T, Ito A, Iwasawa S, Kamijima M, Karita K, Kawai T, Kawamoto T, Koizumi A, Kumagai S, Kusaka Y, Miyagawa M, Morimoto Y, Nagano K, Nasu T.
    • 雑誌名

      J Occup Health.

      巻: 58 ページ: 385-387

    • DOI

      10.1539/joh.16-0155-OP. No abstract available

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] トリクロロエチレンによるHypersensitivity-患者の曝露濃度から許容濃度再考の必要性を考察する-2016

    • 著者名/発表者名
      那須民江
    • 学会等名
      第89回日本産業衛生学会
    • 発表場所
      福島県文化センター(福島県福島市)
    • 年月日
      2016-05-26 – 2016-05-26
  • [図書] Recommendation of Occupational Exposure Limits (2015-2016)2016

    • 著者名/発表者名
      Takebayashi T, Endo Y, Ikeda M, Kawai T, Kishi R, Koizumi A, Nagano K, Nasu T, Sakurai H, Satoh H, Shimizu H, Tanaka M, Tkheuchi Y, Yano E,Endo G, Fukushima T, Hara K, Hori H, Ichihara G, Karita K, Katoh T.
    • 総ページ数
      24(394-417)
    • 出版者
      J Occup Health

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公開日: 2018-01-16  

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