研究実績の概要 |
平成28年度は、本研究の対象データソースとなる無線LAN型外来患者の呼び出しポケベルの位置データを取得、蓄積するシステムを構築した。既設の位置検出装置で算出される無線デバイスの位置データを毎分取得するアプリケーションを開発し、取得した機器ごとの位置情報を本研究で導入するデータベースへ格納する機能を新たに開発した。採取する情報として、(1)検知日時、(2)MACアドレス、(3)SSID、(4)IPアドレス、(5)アクセスポイントMACアドレス、(6)接続ステータス、(7)フロア識別子、(8)フロア内X座標値、(9)フロア内Y座標値、の9項目を24時間持続的に蓄積可能とした。 構築した実験システムを使用して、平成29年1月の1か月間の5,239,363個の患者呼び出しポケベルの位置データを採取し、機器(患者)ごと、フロアごと、に滞在時間を算出する集計を行った。これにより、総滞在時間の分布、フロアごとの滞在患者比較、フロアごとの滞在時間比較、に関する統計量が抽出できた。結果、フロアごとの検出数の相対比較から、外来棟地下喫茶スペース、外来診察フロア、放射線検査、検体検査、生理検査、入院棟ロビー、への患者数が多いことが確認できた。また、フロア単位の滞在時間からは、総数としては相対的に少数になるが、一部の外来診察フロア、手術フロア、放射線治療、リハビリ部門、などの滞在時間が大きいことが確認できた。これらの結果をまとめ、第21回日本医療情報学会春季学術大会へ投稿した。 既設の位置検出装置では算出される位置データの信頼性指標も採取されているが、位置精度については未検討であり今後の課題とした。
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