研究課題/領域番号 |
16K15390
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
栗林 義和 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (40756186)
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研究分担者 |
高石 勝 北里大学, 臨床研究機構, 係長 (80771782)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会医学 / 臨床研究 / モニタリング / クラウドシステム |
研究実績の概要 |
従来、効果・効能の取得を目的としない臨床研究では、モニタリングは不要であった。2015年4月に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が施行され、同年10月以降は一部の研究を除いてモニタリングが必須となった。多くのアカデミア等では、モニタリングの経験はなく、人的・経費的な面からも実施は容易ではない。本研究では、モニタリングに不慣れな担当者の負担を軽減し、かつミスを事前に防ぐ対策を施したクラウドシステムを構築することにより、臨床研究におけるモニタリングの高品質化と効率化を検討している。 クラウド環境は問題なく構築できた。システムに登録されるデータを毎日バックアップし、十分なセキュリティ対策も施した。また、モニタリング記録を一元管理し、多施設共同研究においても各担当者が適切な権限に基づいてシステムを利用できることを確認した。 モニタリングにはチェックリストが必要であるが、研究に合わせて準備した種々のチェックリストをシステムに取り込ませることができた。 研究体制の変更への対応として、人事異動等によるモニタリング実施者の変更を行った場合、変更後のモニターのみがモニタリングを実施できることを確認した。省力化機能については、これまで実施したモニタリング内容の確認、今後のモニタリング内容等が確認できる仕組みを構築した。また、未完了のチェック内容は次回に引き継がれるように設計し、実施忘れを回避できることを確認した。これは効率化のみならず、人為的ミスの回避にも貢献する。 さらなる人為的ミスの回避の手段として、モニタリングが必要な時期になると、担当者に事前にアラートが届く機能を搭載した。現状のシステム内容では、WindowsとMacでの動作には問題はないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
28年度中に、予定通りクラウド環境の構築ができた。分担研究者との連絡、討議を密に行い、研究体制の変更への対応、省力化機能の搭載を前倒しで達成することができた。 また、研究代表者、分担研究者ともに、自ら実際のモニタリング業務を行っているため、より良いシステムの構築と動作の検証を並行して行う事ができた。これらが当初の計画以上の進展に寄与したと考えており、学会で報告も行った。
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今後の研究の推進方策 |
28年度と同様に、人為的ミスの回避について、実際のモニタリングを行いながら動作の検証を進める。また、モニタリングに不慣れな担当者にとって、使い勝手の良いシステム、入力画面を作成することも課題の一つである。 当初の計画にはなかったが、モニタリング状況を管理するため、研究ごとのモニタリングの進捗を出力することも検討している。さらに、モニタリング報告書の自動作成機能を完成させることで、担当者の負担の大きな軽減につなげられるシステムとしたい。 学会や論文にて成果の発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
文房具、書籍等の購入費が少なく済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
より使いやすいシステムとする目的で機能追加を検討するための研究打ち合わせが増える予定であり、旅費として使用する。
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