研究実績の概要 |
前年度までの解析より、当該鍵酵素の全身ノックアウトマウスにおいて動脈硬化病変が有意に増大すること、病態形成を担う細胞集団は骨髄由来細胞,特にマクロファージが強く関与している可能性、ならびに同細胞におけるコレステロール代謝に関与したオートファジー経路の障害が主な病態機構である可能性を突き止めた。本年度はその結果に基づき、採取マクロファージの解析ならびに、動脈硬化病変を改善する可能性がある遺伝子改変マウスとの二重交配飼育・表現系の解析を継続し、学術論文としての報告を目的とした。その結果、 1.採取マクロファージにおけるオートファゴソーム「形成」経路に関する蛋白質発現・mRNA発現は、ノックアウトマウスと野生型に差を認めなかった 2.ノックアウトマウスより採取されたマクロファージでは、主にオートファゴソーム「分解」経路,特にライソゾーム機能が障害されていた 3.当該鍵酵素のサブタイプを過剰発現させたマウスとの二重交配マウスを作成すると、動脈硬化病変が抑制され,泡沫化マクロファージの改善,障害されていたオートファゴソーム分解経路が改善した 事が明らかになった。しかし、今年度に計画していた実験項目のうち採取マクロファージに対する当該遺伝子抑制(SiRNA)は、採取細胞の性質のためか前年に引き続き効率が悪く、網羅的な関連遺伝子検索まで至る事ができなかった。現在は研究データの統合を完了し、論文投稿し校閲中である。
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