研究実績の概要 |
骨格筋では加齢、廃用、脱神経など様々な要因で障害が起こるとされている。障害後の骨格筋細胞のアポトーシスや筋衛星細胞の再生不全は、サルコペニアの発症・進展の要因の一つであると知られている。申請者グループは、血管障害による血管平滑筋細胞アポトーシスと増殖に関連するGFX(growth factor-x)を発見した。このGFXが障害後の組織修復(再生)に大きく関与していることも考察した。そこで、申請者は、GFX障害後の骨格筋再生およびリモデリング及び再生への関与を提唱した。研究代表者は、野生型マウス(9週齢,雄,C57BL/6J)の片側下肢骨格筋に心臓毒(Cardiotoxin(CTX), 1.3mmol/kg・d)を投与する方法で、骨格筋障害(アポトーシス)モデルを作成した。その後、トレッドミル運動能力テストで垂直方向への仕事量を測定し、小動物握力測定装置にて四肢握力測定を行った。結果、障害後3と7日目において仕事量と四肢握力低下が認められた。次にCTX投与後、経時的に骨格筋組織を採集し、定量PCRを用いてGFXの発現変化を検討した。結果、生食投与群と比較し、CTX投与群において一日目で13倍、三日目で30倍とGFX発現を認めた。GFX中和抗体投与にて、障害骨格筋間質の線維化の面積の増加と骨格筋幹細胞(CD34/integrinα7)数の著しい低下が認められた。この結果から、骨格筋のリモデリングと再生においてGFXが大きく関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は、実験計画書の通りに研究を進め、初年度の計画通り成果を収めた。 1)野生型マウス(9週齢,雄,C57BL/6J)の片側下肢骨格筋に心臓毒(Cardiotoxin(CTX), 1.3mmol/kg・d)を投与する方法で、骨格筋障害(アポトーシス)モデルを作成した。CTX投与に関しては40μM/100μl群と20μM/200μl群の2群を作成し、HE染色を用いてそれぞれの筋障害度を比較した。結果、20μM/200μl群にて筋障害が安定して生じることが判明し、その後の実験ではCTX濃度・投与量としては20μMを用いた。2)生化学検討と組織学検討によりCTXの骨格筋内投与は骨格筋障害とリモデリング発症することが明らかになった。3)トレッドミル運動能力テストにおいて走行速度、走行時間、傾斜角度より垂直方向への仕事量を測定し、小動物握力測定装置にて四肢握力測定を行った。結果、CTXの骨格筋内投与による骨格筋機能障害が明らかになった。4)生食投与群と比較し、障害骨格筋における一日目で13倍、三日目で30倍とGFX発現を認めた。5)GFX中和抗体投与による障害骨格筋間質の線維化の面積の増加と骨格筋幹細胞(CD34/integrinα7)数の著しい低下が認められた。6)生食投与群に比較して、GFX中和抗体投与ではCTX投与3日目に定量PCRおいて、骨格筋分化・増殖の指標であるPax7,MyoD,cyclinB1が低値であることが判明した。また、Western Blotting法ではGFX中和抗体投与群においてAKT,GSKのリン酸化の誘導抑制が確認された。 特許申請を検討中で、現段階では、結果を公表することを控える。申請が終わったら、研究成果を即時に開示することを決めている。
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