研究課題/領域番号 |
16K15414
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小牧 元 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (70225564)
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研究分担者 |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (00388216)
細井 昌子 九州大学, 大学病院, 講師 (80380400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アレキシサイミア / 失感情症 / 疼痛 / 慢性痛 / 脳画像 / クラスタリング / 構造化面接 / TAS |
研究実績の概要 |
本年度は健常人対象にAlexithymia構造化面接法(Beth Israel Hospital Psychosomatic Questionnaire 構造化面接法;改訂版m-SIBIQ)を昨年度と同様、引き続き行った。自記式心理質問紙the 20-item Toronto Alexithymia Scale(TAS-20)の収集も並行して進めた。 併存的妥当性を検証するために既にTaylorらによって開発されたToronto Structured Interview for Alexithymia(TSIA)も同時に被験者に対して実施し、改訂版m-SIBIQとの比較を開始した。尚、心理質問紙:TAS-20、Level of Emotional Awareness Scale(LEAS)、NEO-FFI、SC I、IRI、EES、BDI-2、またSTAIなどの自記式質問紙は事前に自宅で回答してもらっているため、同様に解析をほぼ終了した。 本年度の実績としては、本研究参加に同意した健常学生の中から実際にm-SIBIQ構造化面接法を実施できたものは、目標60名に対して58名に到達できた。それらを対象に解析をスタートさせ、検討したところ 、信頼性、妥当性ともに十分な結果が得られた。また昨年度同様に評定者間の得点の一致率は十分に高かった。過去に同様の方法で実施した30数名に実施済みのデータとあわせて統計解析を進めている。 さらに患者対象にm-SIBIQ構造化面接を実施するために、研究協力者に対して、ビデオモニターを使用した面接トレーニングを開始し、良好な結果を得たため、次年度研究実施に活用できる目途が立った。 本年度の結果は、The 18th Congress of the Asian College of Psychosomatic Medicineにて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Alexithymia構造化面接法自体は開発の目途が立ち、検証も一部の複雑な解析を除いて、ほぼ終了した。しかしながら、健常人の脳機能画像とTAS-20の3因子(感情の同定困難、感情の伝達困難、対外的思考傾向)との関連に関する研究が終了していない。H30年度までに実施予定であった慢性疼痛患者における脳局所活動及び機能的結合の検討を目的としたfMRI検証の遂行が、大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後(H31年度)は、患者群に対する脳機能画像検査を実施する前に、健常人における脳機能画像とAlex傾向との関連を調査する予定である。 以前リクルートしている健常人の脳機能画像とTAS-20の3因子(感情の同定困難、感情の伝達困難、対外的思考傾向)との関連をまず第一に探り、クラスタリングの可能性をさぐる予定である。また、今後、患者対象にm-SIBIQ構造化面接を実施するために、研究協力者に対して、面接トレーニングを引き続き実施する。 具体的には、アレキシサイミアの要素と脳画像との関連について、TAS-20の下位因子の感情同定困難、感情伝達困難、外的志向の3因子と相関する脳部位について、2012年度の久山町大検診で得られた一般住民でのMRI脳画像(約1000例)および九州大学病院心療内科の慢性疼痛患者のMRI脳画像約60例を解析し、同定を試みる。さらに、アレキシサイミア傾向が高くても、慢性疼痛を有する症例と慢性疼痛を有しない症例との差異の同定を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Alexithymia構造化面接法自体は、その開発、検証も大方終了したが、併存的妥当性の検証のために収集した心理質問項目で解析が未完了のデータがあり、その解析・検証のための研究協力者の人件費などが必要である。また研究成果に関して、国内外の研究者とのディスカッションを行う必要があり、学会発表を予定している。 さらには、昨年度までに実施予定であった慢性疼痛患者における脳局所活動及び機能的結合の検討を目的としたfMRI検証の遂行が、大幅に遅れているため、次年度には実施予定である。
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