研究課題/領域番号 |
16K15416
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
稀代 雅彦 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40317409)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液状血管閉鎖栓 / アテロコラーゲン / 経皮的カテーテル治療 / New device |
研究実績の概要 |
◆乳幼児・小児の有害異常血管へのコイル塞栓術において、金属コイル血管内留置の生体へ及ぼす影響・予後を懸念しアテロコラーゲンコイル開発を計画したが、現在アテロコラーゲン製品作製工場でのコイル作成が不可能となったため、H28年度新たにコラーゲン溶液を用いた液体状血管閉塞栓の開発を立案した。◆その資材は(株)高研から発売されている「アテロコラーゲンインプラント:以下ACI」である。冷所では液体状に、37℃以上で弾性に富むゲル状に変化する性質を持つ。眼科領域では涙腺閉鎖栓として、皮膚科領域では皮膚陥没充填剤として実用化されており、安全性は実証されている。◆H28年度は、このACIを経カテーテル的に異常血管へ留置するデリバリーシステムの開発と、適正濃度選択をin vitroに繰り返し実験した。◆デリバリーシステムは後方血流遮断目的である先孔式バルーンカテーテル内のマイクロカテーテルにACIを注入する方式を考案。またX線透視下での視認性と操作性を課題とした。◆ACIゲル化の観察では、極細径のカテーテル内を押し出すには高粘調性で抵抗が強く押し出し注入は困難であった。濃度調整を試みたが解決に至らず、直径の異なるカテーテルを各々試した結果、径5Fr以上ではゲル化が始まっても押し出し可能であることが確認された。そこで先孔式カテーテル内に直接ACIを注入する方式にデリバリーシステムを修正した。◆ACIはX線透視下で視認されず血管内注入に際しては何らかのマーカーが必要となるため、選択的造影の際に注入する造影剤をマーカーとした。◆現在までin vitroにおける実験モデルキットを作成し、液状コラーゲン閉鎖栓およびデリバリーシステムの完成度を高めるべく検討を重ねている。今後、当初の計画通りに完成した液状コラーゲン閉鎖栓を用いた動物実験をいよいよ進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
適正かつ実用的なアテロコラーゲン液状血管閉鎖栓のin vitroにおける開発段階で、濃度、性質、X線非透過性など多くの部分で想定していたものと異なった結果を示したため、その都度やり直す必要があった。これにより当初の予定より大幅な時間を要した。 また動物実験に関して、当施設の動物実験舎の大幅な改築工事が予定されたため、現時点での動物を用いた実験開始を避けた。工事に際して使用した動物が全て使用出来なくなるためである。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で直面している最大の問題は、動物実験舎の大幅な改築工事である。これにより動物実験そのものの開始が大幅に遅れることが予想される。また当初計画していた実験動物であるウサギの飼育が、動物実験舎改築後に不可能となる可能性が浮上しているため、ウサギに代わる動物の選定を含め、現在動物実験舎側と繰り返し協議中である。新しい動物実験舎が完成し、この問題が解決され次第、速やかに動物実験を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの研究状況に記した通り、動物実験舎の改築工事を控えているため実験に使用する動物を購入することを控えているため、平成28年度予算の持ち越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
液状コラーゲン溶液の購入、試薬の購入、デリバリーシステム器材の購入、実験動物購入および飼育費用。情報収集のための文献購入、学会参加費用、分析のためのコンピュータソフト購入など。
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