研究課題/領域番号 |
16K15419
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小原 克彦 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (30260384)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フレイル / 握力 / 開眼片足立ち / 軽度認知機能障害 / 脳微小血管病 |
研究実績の概要 |
愛媛大学抗加齢ドック受診者を対象とした検討において、開眼片足立ち20秒未満および握力低下(男性 32.5kg未満、女性19.5kg未満)を組み合わせた簡易フレイルスコアは、軽度認知機能障害(MCI)と有意な相関を示し、年齢・性別で補正後にもMCIの有意なリスク(OR 4.6[1.9-6.9], p=0.0001)であることを認め報告した(Sci Reports 2017)。MCIの存在に対して中心脈圧の上昇と無症候性ラクナ梗塞がリスクとなったが、簡易フレイスコアはこれらとは独立したリスクとなった。握力低下の基準としてサルコペニア基準(男性 26kg未満、女性18kg未満)を用いて簡易厳格フレイルスコアを算出したところスコア1点でもMCIの有意なリスクとなった(OR 2.3[1.4-3.7], p=0.001) (Sci Reports 2017)。 フレイル非合併MCIと比較したフレイル合併MCIの臨床的特徴を明らかにし、病態に差が存在するか否かを検討した。全970人中、153名がMCIを有しており、うち81例が簡易厳格フレイルスコア1点以上であり、フレイル合併MCIに分類した。性別には差がなかったが、フレイル合併MCIはより高齢であった。タッチパネル式認知機能テスト点数は両群間に差はなかったが、年齢、性別補正後も遅延再生がフレイル合併MCI群で低値の傾向を示した。ADL、IADLに差はなく、うつスケールであるCES-Dスコアやエプワース睡眠尺度にも両群間で差はなかった。ADLには差が出ない程度のフレイル合併MCIが存在すると考えられる。現在、論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
愛媛大学抗加齢ドック受診者を対象とした研究は順調に進展しており、簡易フレイルスコアに関して2つの英文論文を発表し、さらにフレイル合併MCIという新たなMCI分類を提唱し、その病態に関する研究を進めることが出来た。 愛媛医療センター受診患者を対象とした簡易フレイルスコアとフリードによるフレイル基準との比較研究は、患者のリクルートが不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
愛媛大学抗加齢ドック受診者を対象とした研究は今後も順調に進捗し症例数の蓄積が期待できると考えられる。 愛媛医療センター受診患者に関しては、同センターリハビリ科の協力を得て症例の蓄積を行う予定である。症例数の蓄積が困難な場合も想定し、抗加齢ドック受診者を対象に歩行速度の計測を行うことも予定している。
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