研究実績の概要 |
愛媛大学抗加齢ドック受診者を対象とした検討において、開眼片足立ち20秒未満および握力低下(男性 32.5kg未満、女性19.5kg未満)を組み合わせた簡易フレイルスコアは、軽度認知機能障害(MCI)と有意な相関を示すことを報告した(Sci Reports 2017)。さらに簡易フレイルスコアにbaPWV 1470cm/sec以上を血管機能障害の指標として加えて3項目(最大3点)とした場合、MCIの存在に対する相対リスクは0点を基準とした場合、1点(RR 2.4, 95%CI [1.52-3.64])、2点(RR 4.8, 95%CI [3.10-4.59])、3点(RR 13.0, 95%CI [7.75-21.87])となり、さらにリスク評価が改善した。 フレイル合併MCIの臨床的特徴に関する検討をさらに進めた。838名を対象とした検討において、簡易フレイルスコア1点以上を有する269(32%)名をフレイルと定義した。69(8%)例がフレイル合併MCIであった。フレイル合併MCIはより高齢であった。フレイル合併MCI群では、高血圧(68%)、糖尿病(23%)の頻度が他群に比し高く、降圧薬および糖尿病治療薬服用者も多かった。さらにフレイル合併MCI群はbaPWVが高く、頭部MRIにより評価した白質障害が進展していた。フレイル合併MCIに対するロジスティック解析では、年齢(10歳 OR 2.6 [95%CI 1.6-4.1])と脳微小血管病(存在 OR 2.3 [95%CI 1.2-4.4])が有意な説明変数であった。フレイル合併MCIは、生活習慣病を基盤とした動脈硬化から脳微小血管病を介して進展する可能性がある。危険意思を現在、論文作成中である。
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