研究課題
本研究では、メダカを動物モデルとして、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に伴う肝障害、肝硬変、肝癌発生の過程を検証するとともに、その進展を制御するための治療法の確立を目的として検討を行なった。平成29年度の本研究助成基金によって、以下の研究成果が得られた。平成28年度に確立した、drR系のメダカモデルを用いたNASHモデルメダカを対象として、抗糖尿病薬であるSGLT2阻害剤によるインスリン抵抗性の改善、肝組織内の炎症性変化の改善の有無、脂肪変性の改善などの効果を検証し、その効果を確認した。肝重量体重比は、4週投与後では有意差を認めなかったが、8週投与後でNASH群5.2 %、TOFO群4.7 %でありTOFO群にて有意に上昇が抑制された(P<0.05)。12週投与後では有意差を認めなかった。血液生化学検査では、8週投与後でTGはNASH群3240 mg/dL、TOFO群1960 mg/dL、T-CHOはNASH群370 mg/dL、TOFO群270 mg/dLとなりTOFO群にて血中脂質の上昇が抑制された。ALTは、4週投与後でNASH群420 IU/L、TOFO群190 IU/LとTOFO群でALTの上昇が抑制された。肝組織内の脂肪組織量はImage Jにて定量化し、8週投与後でNASH群30.7 %、TOFO群18.6 %とTOFO群にて脂肪組織量の上昇が有意に抑制された(P<0.01)。12週では脂肪組織量および線維化に有意差を認めなかった。以上より、投与後8週まではTOFOによるNASH進展抑制効果が認められ、SGLT2阻害薬であるTOFOの投与がNASHの進展抑制に有用である可能性が示唆された。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 496 ページ: 556~561
10.1016/j.bbrc.2018.01.057