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2017 年度 実施状況報告書

ゲノム編集技術による膵管上皮細胞から膵β細胞新生の確立と新たな糖尿病治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 16K15432
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

伊藤 鉄英  国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 教授 (50253448)

研究分担者 河邉 顕  九州大学, 大学病院, その他 (10398068)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード糖尿病 / ゲノム編集 / 膵β細胞 / 分化誘導 / オートファジー
研究実績の概要

本研究の目的。糖尿病は多くの患者が罹患しているが、根治的かつ永続的な治療法は開発されていない。糖尿病では、膵β細胞によるインスリン分泌低下が主要な要因であり、膵β細胞のインスリン分泌を回復させる治療法の確立が必要である。最近、Conditional マウスにて、膵管上皮細胞のFbw7ノックアウトにより膵β細胞の分化誘導が行える事が報告された。本研究では、臨床応用する為に、ゲノム編集技術Crispr/Cas9システムを用いて野生型マウスでの膵管上皮細胞からの膵β細胞分化誘導を確立し糖尿病の改善を行い、最終的にヒトに対する、膵β細胞新生による糖尿病治療を目指す。本研究の実施計画は、本研究ではヒトでの応用へ繋げる為に、野生型成体マウスでの膵管上皮細胞から膵β細胞への分化誘導を行い、糖尿病治療を行う。具体的には以下の実験を行う。①ゲノム編集技術Crispr/Cas9にて、野生型成体マウスの膵管上皮細胞のFbW7ノックアウト方法を確立する。②PDX1-Creと同じく膵β細胞の分化誘導を形態および分子生物学的に確認する。③グルコース反応性にインスリン分泌を行う事の確認④糖尿病モデルマウスでの糖尿病改善を示す。主に、大学院生の安永浩平が行う。本年度は基礎部分の研究を行い、興味深い知見を得た。しかし、研究棟の移転決定などがあり、重要な意義を発表できるまでにはまだ至っていない。また、元々2年間での予定であり、本年度だけでの成果を纏めるのは難しいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では野生型成体マウスでの膵管上皮細胞から膵β細胞への分化誘導を行い、糖尿病治療が行えるか、ヒトへの応用ができるかの研究である。分化誘導にはCrispr/Cas9システムを用いたゲノム編集の手法を試みており、標的ゲノムであるFbw7のノックアウトを進行中である。膵管上皮細胞もちいての実験がなかなか上手くいかず再実験を繰り返していた。そのため、この研究が成功するために、まず膵腺房細胞株であるAR42Jを用いてゲノム編集技術であるCrispr/Cas9にて膵アミラーゼのノックアウトを行い成功した。オートファジーのマーカーであるLC3-Ⅱを解析し、膵アミラーゼノックアウトを行ったAR42JではLC3-Ⅱタンパク発現はwild typeと比較し優位に低下しており、膵アミラーゼ欠損ではオートファジーが減少している興味ある結果を得られた。我々はこの結果から、膵アミラーゼが膵炎においてオートファジーの誘導と選択性を行っており、膵アミラーゼの消失がオートファジーを介して膵癌発症や進展に対しても関与しているということを証明し、Using CRISPR/Cas9 to knock out amylase in acinar cells decreases pancreatitis-induced autophagy.といタイトルで英文科学雑誌に受理された(Yasunaga K, Ito T, et al. BioMed Research International. in press)。これを元に膵管上皮細胞からFbw7をノックアウトして膵β細胞への分化誘導が可能となる方向性を見いだしており、今後研究を進めていく。

今後の研究の推進方策

本研究では野生型成体マウスでの膵管上皮細胞から膵β細胞への分化誘導を行い、糖尿病治療が行えるか、ヒトへの応用ができるかの研究である。分化誘導にはCrispr/Cas9システムを用いたゲノム編集の手法を試みており、標的ゲノムであるFbw7のノックアウトを進行中である。膵管上皮細胞もちいての実験がなかなか上手くいかず再実験を繰り返していた。そのため、この研究が成功するために、まず膵腺房細胞株であるAR42Jを用いてゲノム編集技術であるCrispr/Cas9にて膵アミラーゼのノックアウトを行い成功した。オートファジーのマーカーであるLC3-Ⅱを解析し、膵アミラーゼノックアウトを行ったAR42JではLC3-Ⅱタンパク発現はwild typeと比較し優位に低下しており、膵アミラーゼ欠損ではオートファジーが減少している興味ある結果を得られた。我々はこの結果から、膵アミラーゼが膵炎においてオートファジーの誘導と選択性を行っており、膵アミラーゼの消失がオートファジーを介して膵癌発症や進展に対しても関与しているということを証明し、Using CRISPR/Cas9 to knock out amylase in acinar cells decreases pancreatitis-induced autophagy.といタイトルで英文科学雑誌に受理された(Yasunaga K, Ito T, et al. BioMed Research International. in press)。これを元に膵管上皮細胞からFbw7をノックアウトして膵β細胞への分化誘導が可能となる方向性を見いだしており、今後研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究棟の移転作業のためマウスを用いた研究などが困難であった。また研究分担者の転出などあり計画が遅れたために次年度使用額が生じた。
次年度は膵管上皮細胞からFbw7をノックアウトして膵β細胞への分化誘導が可能となる方向性を見いだしており、今後研究を進めていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Using CRISPR/Cas9 to knock out amylase in acinar cells decreases pancreatitis-induced autophagy2018

    • 著者名/発表者名
      Yasunaga K, Ito T, MIki M, Ueda K, Fujiyama T, Tachibana Y, Fujimori N, Kawabe K, Ogawa Y.
    • 雑誌名

      BioMed Research International

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rb Loss and KRAS Mutation Are Predictors of the Response to Platinum-Based Chemotherapy in Pancreatic Neuroendocrine Neoplasm with Grade 3: A Japanese Multicenter Pancreatic NEN-G3 Study.2017

    • 著者名/発表者名
      Hijioka S, Hosoda W, Matsuo K, Ueno M, Furukawa M, Yoshitomi H, Kobayashi N, Ikeda M, Ito T, et al.
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res

      巻: 23 ページ: 4625-4632

    • DOI

      10.1158/1078-0432.CCR-16-3135

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Utility of chromogranin B compared with chromogranin A as a biomarker in Japanese patients with pancreatic neuroendocrine tumors.2017

    • 著者名/発表者名
      Fujiyama T, Ito T, Ueda K, Tachibana Y, Yasunaga K, Miki M, Takaoka T, Lee L, Kawabe K, Ogawa Y.
    • 雑誌名

      J Dig Dis

      巻: 47 ページ: 520-528

    • DOI

      10.1093/jjco/hyx032.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antifibrotic Effect of Saturated Fatty Acids via Endoplasmic Reticulum Stress Response in Rat Pancreatic Stellate Cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Lee L, Ito T, Nakamura T, Jensen RT, Igarashi H, Takayanagi R.
    • 雑誌名

      Pancreas

      巻: 46 ページ: 385-394

    • DOI

      10.1097/MPA.0000000000000757

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2018-12-17  

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