研究課題
糖尿病患者は増加してきているが、根治的かつ永続的な治療法は開発されていない。糖尿病では膵β細胞によるインスリン分泌低下が主要な要因であり、膵β細胞のインスリン分泌を回復させる治療法の確立が必要である。最近、マウスにて、膵管上皮細胞のFbw7ノックアウトにより膵β細胞の分化誘導が行える事が報告された。本研究では、臨床応用する為にゲノム編集技術Crispr/Cas9システムを用いて野生型マウスでの膵管上皮細胞からの膵β細胞分化誘導を確立し膵β細胞新生による糖尿病治療を目指すことを目的とした。つまり、野生型成体マウスでの膵管上皮細胞から膵β細胞への分化誘導を行い、糖尿病治療を行うことである。具体的には以下の実験を計画をした。①ゲノム編集技術Crispr/Cas9にて、野生型成体マウスの膵管上皮細胞のFbW7ノックアウト方法を確立する。②PDX1-Creと同じく膵β細胞の分化誘導を形態および分子生物学的に確認する。③グルコース反応性にインスリン分泌を行う事の確認、および④糖尿病モデルマウスでの糖尿病改善を示す。昨年度までに①に関して十分な成果を残し、英文論文を発表した(Biomed Res Int., 2018)。最終年度では主に②膵管上皮細胞からFbw7をノックアウトして膵β細胞への分化誘導、を試みたが十分な成果を得ることは出来なかった。そこで、②へ通じる実験を新たに計画し、膵内分泌腫瘍細胞と正常組織のRNA-Seqを用いた遺伝子発現解析を施行した。その結果、膵内分泌腫瘍ではシナプス伝達関連遺伝子上昇と消化酵素関連酵素の低下を認め、この結果は新たに英文論文として発表した(Cancer Medicine, in press)。この結果と手法を今後膵β細胞の分化誘導を形態および分子生物学的に確認する作業に生かしていく予定である。今後に繋がる成果を発表できたと考えられる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Cancer Medicine
巻: in press ページ: in press
DOI:10.1002/cam4.2232
BioMed Research International
巻: Article ID 8719397, ページ: 1-8
10.1155/2018/8719397