研究課題/領域番号 |
16K15439
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉田 雅幸 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80282771)
|
研究分担者 |
大坂 瑞子 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00581711)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 血管炎症 / 内皮下浸潤 / 白血球 |
研究実績の概要 |
動脈硬化症は脂質などにより血管壁が障害され、傷害部位に白血球が遊走・接着する血管炎症反応によって発症・進行する。さらに接着した白血球は血管内皮下へ浸潤し、増悪すると考えられている。これまでの培養細胞を使った研究では主に単球が血管内皮へ遊走・接着し、接着現象を経て内皮下へ遊走することや肥満した脂肪組織、移植後の肝臓、腎臓などの細動静脈における末梢血白血球の組織浸潤について報告されているが、大血管、特に動脈において血管内皮に接着した白血球が内皮下へ浸潤する過程は生体下では捉えられておらず、接着した白血球が内皮下へ浸潤するかどうか定かではない。一方で動脈硬化症が進行して形成された動脈硬化巣では血管壁に常在するマクロファージの増加が報告されている。従って集積している白血球は接着した白血球の内皮下遊走のみではなく血管内膜に常在する白血球の増殖によるものである可能性が考えられる。血管炎症反応に伴う大血管の血管内膜への白血球浸潤について、常在する白血球増殖の関与があるのかどうかマウス大腿動脈にて検証する。高脂肪食による血管内膜での白血球集積は常在白血球の増殖によるものか、白血球接着を介した内皮下浸潤によるものなのか、検討するために顆粒球特異的にeGFPが発現するマウスであるLysozymeM-eGFPマウスと野生型マウスの並体接合を行った。並体接合によってeGFP陽性白血球を野生型マウスに循環させて野生型マウスの血管内膜にeGFP陽性白血球が存在した場合には循環白血球が内皮への接着を介して浸潤していると考えられる。一方、陽性細胞が存在しなかった場合には接着を介さず、常在白血球の増殖によることが示唆される。In vivoイメージングを使って野生型マウスの白血球内皮下浸潤を観察したが、eGFP陽性白血球はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LysozymeM-eGFPマウスと野生型マウスの並体接合法を確立した。しかしながら、成功率が低いため更なる工夫が必要と思われる。また、並体接合後の野生型マウスの大腿動脈ではeGFP陽性白血球は観察されなかったが、さらに実験を積み重ねて再現性を確認する必要性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
並体接合法の成功率が低いため、成功率を上げるために更なる工夫が必要と思われる。また、並体接合後の野生型マウスの大腿動脈ではeGFP陽性白血球は観察されなかったが、さらに実験を積み重ねて再現性を確認する必要性がある。接着から浸潤への移行があるかどうかについて、並体接合後の野生型マウスの大腿動脈を酵素処理により単一細胞懸濁液にしてフローサイトメトリーでeGFPの陽性率を検討すれば更なる確証が得られると考えられる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の消耗品に対して当該年度の残額を超えていたため、次年度交付金と合わせて次年度に購入することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
当該年度購入予定であった消耗品の購入に充てる。
|