研究課題/領域番号 |
16K15440
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荻原 義人 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70626572)
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研究分担者 |
伊藤 正明 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00223181)
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (40291439)
土肥 薫 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50422837)
山田 典一 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (60303731)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ET-1ペプチドワクチン / 肺高血圧ラットモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的では、PAH の増悪因子であるエンドセリン(ET)-1などの液性因子 を標的としたワクチンを開発し、その有用性ならびに安全性をPAH 動物モデルにおいて検討することにより、最終的にはPAH に対する新しい治療法の開発を行うことである。 【ET-1 ペプチドワクチンの作成、肺高血圧ラットモデルにおけるワクチンの効果判定】 ET-1ペプチド(21個のアミノ酸)とKLHキャリア蛋白によるペプチドワクチンを作成し、SD ラット9 週齢・雄に、アジュバントとともに、試験day0、day14、day28と計3 回、2 週間毎に皮下注を行った。その後、抗ET-1抗体価がほぼピークとなったday42より2 週間、低酸素チャンバー(約10% O2)内で飼育した。その後、イソフルレン吸入麻酔下でカテーテルにより右室圧および大動脈圧測定と、心臓摘出し右室/左室+中隔心筋重量比(Fulton index)を計測することにより、ワクチン無投与群と比較した(各群7匹ずつ)(day 56)。しかし、右室収縮期圧(ワクチン群:非ワクチン群=74.3±11.7mmHg:72.2±10.9mmHg, p=0.734)、Fulton index(ワクチン群:非ワクチン群=0.367±0.038:0.360±0.042, p=0.733)、平均動脈圧(ワクチン群:非ワクチン群=94.2±9.4mmHg:98.6±11.9mmHg, p=0.461)はいずれも2群間で有意な差を認めず、低酸素肺高血圧ラットモデルに対するET-1ワクチンの有効性を示すことができなかった。この結果からは、抗体価の上昇が不十分であること、または誘導された抗体に中和活性がないことといった原因が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回作成したET-1ペプチド(21個のアミノ酸)ワクチンでは、肺高血圧改善効果を認めなかった。新たにペプチドワクチンを設計・合成し、動物モデルで薬効試験を再検する必要性が生じた。ただし、十分に実験手技を習熟しているため、新たな実験を速やかに行うことが可能であることから、総じてやや遅れているといった評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
21個のアミノ酸からなるET-1 ペプチドの立体構造において、より重要な生理活性を示すアミノ酸配列のみから成るペプチドワクチンを設計・合成し、肺高血圧ラットモデルを用いて薬効試験を再検する。さらにペプチドワクチンの有効性が乏しい場合は、次段階としてDNA ワクチンを合成し、肺高血圧ラットモデルにおいてその有効性を検証する
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の2点により、次年度使用額が生じた。 ①研究推進目的の情報収集のための海外学会参加ができなかった ②開発したワクチンの薬効が認めず、安全性を確認するための実験を行う必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
ペプチドワクチンを新たに開発し、再度、肺高血圧ラットモデルを作成、薬効実験を再検する必要がある。さらに研究推進目的の情報収集又は発表目的で海外学会を参加していく予定である。
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