研究実績の概要 |
本研究代表者等は1993年にヒト褐色細胞種組織より、アドレノメデュリン(AM)を強力な降圧作用を有する新規生理活性ペプチドとして発見(Kitamura K. et al. Biochem Biophys Res Commun. 192, 553-560, 1993)した。さらに、AM前駆体よりProadrenomedullin N-terminal 20 Peptide(PAMP)が降圧作用を有する新たな生理活性ペプチドとして生合成されることを明らかにした(Kitamura K. et al. FEBS Lett. 351: 35-37, 1994)。AMとPAMPはヒト副腎髄質由来の褐色細胞腫より発見されたものであるが、現在AMとPAMPが重要な生理活性ペプチドとして生体内調節や各種病態で重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。また、最近ではアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)のN末を認識するラジオイムノアッセイ(RIA)を用いて、ヒト尿中よりビッグアンジオテンシン-25(Bang-25)を内在性のペプチドとして発見(Nagata S. et al. Biochem Biophys Res Commun. 441, 757-62,2013)し、レニンアンジオテンシン系の研究分野で大きな反響を得ている。このように未知の生理活性ペプチドを単離し、構造を明らかにする研究は医学・循環器病学の発展のために極めて重要である。本研究の目的は、我々が独自に開発した次の3つの検索法を駆使して、ブタ心房のペプチド分画より生理活性ペプチドの系統的かつ網羅的検索を行い、AMや心房性ナトリウム利尿ペプチドに続く新たな内在性の循環調節ペプチドを発見することにある。 (1) ラット血小板のcAMP増加作用を有するペプチドの検索。 (2) C末端アミド構造を有したペプチドの系統的検索。 (3) アンジオテンシン関連ペプチドの系統的検索。
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