研究課題
本研究の目的は,①嫌気性腸内発酵による内因性水素分子の運搬・貯蔵・放出に関する基礎的検討ならびに②生体内における活性酸素生成と抗酸化(食事性代謝性抗酸化物質+抗酸化システム)に腸内嫌気性発酵性水素分子を組み込んだ新規概念を提案した上で,この仮説を酸化ストレス性疾患モデルとヒトの生活習慣や循環器疾患を対象に独自開発の非侵襲的OH計測法を用いて検証することが目的であった.本年度は健康成人を対象として食物繊維が豊富な食材を摂取し,腸内発酵性水素産生の増加を惹起させ,呼気水素分子の増加とそれに関連して変動する呼気成分の網羅的高感度分析を実施した.呼気成分はガスクロマトグラフ半導体検知法とイオン移動度スペクトロメトリ法により網羅的高感度分析を行った.呼気水素と有意な相関をもち上昇する呼気微量成分ならびに水素分子の上昇を一過性に抑えて増加する成分,すなわち腸内発酵においては腸内フローラによる内因性水素分子の発生を協働的に促進させるco-fermentationともいうべき微量成分,さらには水素分子を消費または抑制性に作用しながら増加するcontra-fermentationともいうべき現象をもつ微量成分も多数認められた.内因性分子状水素の発生そのものが腸内細菌叢により生成量が結果として調整されていることが推察された.現在,これらの多数を微量成分の同定作業を行いつつある.さらに体表面からの活性酸素を実時間で計測可能なシステムも開発した.
3: やや遅れている
疾患モデルによる腸内発酵性分の動態解析が遅れている.
本研究は,①生体内水素分子の挙動に関する基礎的検討,②ROS-抗酸化バランスにかかわるな院生水素分子の役割を中心に疾患モデルを用いた詳細な検証,③心不全病態モデルならびに生活習慣におけるROS-抗酸化ストレスのバランス評価を検討することにあった.①におけるin-vitroでの水素分子の一部消失する現象を発見したもののその詳細な機序が未解明のままであることから最終年度はその解明に努力したい.さらに本研究を加速させる目的で開発した体表活性酸素の実時間計測システムがほぼ使用可能になったことから,このシステムを用いて②,③の研究を推進させたい.
活性酸素計測装置の動物仕様に対する開発が次年度に持越し,未使用分が発生し,次年度の開発実施の際に充当させ,さらに本研究の推進を加速させる.
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https://www.chubu.ac.jp/about/faculty/profile/0609a6967cd1add7329637b9e9141ca443d36d7c.html