心室局所に微小振動を加え、局所における運動方程式を解くことにより、解析的に心室粘性項を求める方法の開発を行った。局所心室粘性項は心室弾性項と同様に心周期とともに変化する時変であることがわかった。また、心筋虚血時には虚血直後から増加傾向が認められ、心室弾性項よりも鋭敏である事がわかった。次にこれらの結果をモデル化したコンピュータ・シミュレーションを用いて心室粘性項について検討を行った。粘性項の存在は有効循環血液量の増大をもたらすことがわかった。また、右室は左室よりも相対的に最大弾性率が小さいため、右室機能が正常な場合においても粘性項を無視することができない可能性が示唆された。
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