研究課題
気管支喘息は可逆性の気道閉塞、気道炎症、気道過敏性で特徴つけられる。このうち、気道過敏性は気管支喘息の病態の本態であり、気道過敏性の亢進と気管支喘息の重症度は相関することから、気道過敏性の制御は重要である。喘息の治療に最も有効とされる吸入ステロイドは好酸球性の炎症を抑制することで気道過敏性を低下させ、喘息症状を改善する。しかし、喘息患者の約10%はステロイド抵抗性の難治性重症喘息であることから、新しい治療法の開発が必要とされている。肺サーファクタントは呼吸時の肺胞の虚脱を防ぐなど生命維持に必須の役割を有する。我々は、肺サーファクタントの主成分であるphosphatidylcholine(PC)をリポソーム化して(PC-liposome)House dust mite (HDM)によるマウス喘息モデルに投与したところ、メサコリン吸入負荷時の気道過敏性が完全に消失する現象を見出した。このことから、HDM 喘息モデルでは肺サーファクタント活性が低下し、PC-liposome によりLS 成分を補充することで気道過敏性が消失する可能性が考えられた。そこで、本研究では、気管支喘息の本態である気道過敏症の新規治療法を開発することを目的として、マウス喘息モデルにおけるPC-liposome の治療効果と作用機序について明らかにすることを目的とした。House Dust Mite(HDM)以外の喘息モデルの系として、卵白アルブミン(OVA)そしてpapain 投与モデルを検討し、PC-liposome 投与後の気道過敏性、気道炎症、血清IgE 抗体価を解析した。その結果、PC-liposomeはこれらの喘息病態を抑制する機能を有することを示唆する結果が得られた。しかし、その作用機序についてはさらなる解析が必要と考えられた。
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