研究課題/領域番号 |
16K15457
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 功朗 京都大学, 医学研究科, 助教 (40447975)
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研究分担者 |
浅香 勲 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (10543639)
森本 浩之輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (50346970)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 間質性肺炎 / 遺伝性疾患 / サーファクタント / 肺胞上皮細胞 |
研究実績の概要 |
間質性肺炎は肺に広汎な炎症・線維化が生じ,進行すると肺容量が縮小して呼吸不全に至り,死亡するという,大変予後の不良である.現状ではステロイド剤や免疫抑制剤,抗線維化薬などが治療に用いられるが,根本的な治療とならず,極めて難治性の疾患である. 本研究は間質性肺炎の病態に迫るため,遺伝的に高確率で間質性肺炎を発症する家系から得られた体細胞を用い,そこからiPS細胞を作成し,疾患研究に応用することを目的とする. 共同研究機関の長崎大学にて診療している家族性間質性肺炎患者の有疾患同胞3名から,京都大学および長崎大学の医の倫理委員会で認可された方法に則り検体採取およびiPS細胞作成の同意を得て,患者を匿名化した.その匿名化番号を,さらに京都大学にて匿名化を行った.そのうえで各患者から末梢血を採取した. 末梢血から単核球(PBMC)を分離し,PBMCを前培養したのち,electroporationによりエピソーマルベクターを用いて初期化因子(OCT3/4, p53, SK, UL, EBNA1)を導入した.培養を継続し,各患者由来のiPS細胞コロニーを各9コロニーずつピックアップし,iPS細胞を維持培養した.今後はiPS細胞のバリデーションを行い,適切なiPS細胞株を選択し,肺胞上皮細胞を誘導し,様々な実験に用いる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者から検体を採取してiPS細胞を作成することで,初年度は倫理的問題に配慮する業務に時間を費やした.目標とする患者3名で,一挙に行うことは避け,一人ずつ順に体細胞の採取を行い,iPS細胞の作製を行ったため時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
作成したiPS細胞を用いて肺胞上皮細胞を誘導し,以下の研究を行う. (1) 疾患由来iPS細胞から分化したⅡ型肺胞上皮細胞が,特異な表現型である小胞体ストレスやアポトーシスを呈することを示す. (2) 疾患由来iPS細胞を用いた肺線維化発生の機序を解明し,治療薬候補化合物のスクリーニングを行う. (3) 遺伝子疾患での検討から一般的なIPFにおける病態理解へと発展させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以後の研究推進により消耗品費用がかかるため.
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品を中心に使用する.
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