研究実績の概要 |
29年度は、1)小細胞肺癌培養株H69およびSBC1、非小細胞癌株H358を用いて、Draxin遺伝子shRNAによるノックダウン細胞の作成を試みた。2)DraxinのNetrin1の結合領域の22アミノ酸(22aa: Gao et al. Cell Rept 2015)によるpeptideを合成し、増殖、アポトーシスへの影響を検討した。3)前年度に引き続き、DraxinとNeterin1の共通の受容体のNeogeninおよびDCCの細胞外fibronectin domainおよびimmunoglobulin domainの作成を、A549細胞及びCos7細胞を用いて試みた。 【結果】1)Draxinノックダウン細胞は、lipofectamineやelectroporation法により繰り返し試みたが、小細胞肺癌株では作成できなかった。一方、非小細胞肺癌株H358では、作成に成功し、これら細胞では細胞増殖やアポトーシスに影響することがわかった。2)22aaの投与により、非小細胞肺癌培養株H358やH1270において、増殖に関わるphospho-histone3の発現亢進が見られ、22aaによるDraxinとNetrin1とのinteractionが、細胞増殖に関わることが明らかになった。3)DraxinやNetrin1等のリガンド、これらの受容体のDCC, Neogeneinの結合しうる細胞外domain分子を作成し、このシグナル機構を制御して、肺癌細胞の増殖の制御への実験を計画しているが、本年度も、細胞外domain の作成は失敗した。 【考察】受容体の細胞外ドメインの作成と小細胞肺癌細胞株での実験が失敗に終わっているが、非小細胞癌では癌の生存を制御しうることがわかったので、今後も、この実験系に注目して、小細胞癌の制御を目指し、研究を継続します。
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