研究課題/領域番号 |
16K15468
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
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研究分担者 |
秋山 真一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20500010)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腎臓内科 / バイオテクノロジー / 実験モデル動物 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが考案した腎臓可視化透明ゼブラフィッシュを用いた腎毒性・腎治療性化学物質のスクリーニング技術をベースにして、先天性腎疾患モデルフィッシュを作成して、表現型解析に基づいたハイスループットin vivoドラッグスクリーニングのプロトタイプを構築と実践を通じて、アンメットメディカルニーズのある腎疾患に対するオーファンドラッグ候補分子の超低コストかつ高速な創薬プロセスの実現に資する基礎知見の収集を図ることを目標としている。 研究開始年度にあたる平成28年度は、疾患モデルフィッシュの作成に必須となるゼブラフィッシュの品種改良と遺伝子組換えのためのベクター作りに取り組んだ。すなわち、既存の透明ゼブラフィッシュ(Casper種)は発生期における正常発生率および生残率が低いうえに、腹壁部の透明度が低く、GFP観察波長における自家蛍光も強いことから、ゼブラフィッシュ体幹の深部に存在する腎臓を高解像度で体外から観察するには不適であると判断し、これらの問題点を改善した系統の選抜育種による作出を試みた。その結果、Casper種と野生型AB系統のgoldenタイプを交配して、生残率、正常発生率および透明度を指標にして選抜育種を行った結果、腎臓のin vivoライブイメージングにも耐えうる形質を呈した集団をGolden-Casper種として取得できた。一方、遺伝子組換えのためのベクター作成では、モデル疾患としてポドサイト障害によるネフローゼ症候群を選択し、モデルフィッシュの構築を目指した。蛋白票を可視的に評価するために蛍光タンパク質を融合した血中タンパク質を発現するためのベクター、Nephrinなどポドサイト構成タンパク質を機能阻害するためのベクターの構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存の透明ゼブラフィッシュ(Casper種)がそのまま利用できる前提で本研究を開始したが、成魚において体外からの腎臓の観察像が若干不明瞭だったことから透明ゼブラフィッシュを改良するために多くの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光タンパク質を融合した血中タンパク質を発現する新規透明ゼブラフィッシュを構築してから、Nephrinなどポドサイト構成タンパク質を機能阻害して、蛋白尿の出現を確認し、市販ケミカルライブラリーを投与してドラッグスクリーニングプロトタイプを実践する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の取り組みにおいて、透明ゼブラフィッシュの作出に時間を要したため、次ステップで予定していた実験費の支出に至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り、実験費として遺伝子組換えフィッシュの作成とスクリーニングモデル用試薬の購入で使用する。
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