研究課題
前年度、ROSA遺伝子座を用いてnephrinプロモーター配列下にEGFPを発現するNephrin-EGFP knock-inマウスの作出に成功した。またマウス由来糸球体の培養系を用いてArrayscanによるEGFPレポーターの発現強度を定量する実験系を確立した。今回、ビタミンDが単離糸球体においてnephrin mRNA、nephrin protein、EGFP reporterの発現を大きく増大させることを確認し、本実験系によりnephrinの発現を増大させる因子をスクリーニングできることを確認した。そこで京都大学大学院医学研究科・医学研究支援センターより化合物ライブラリーの供与を受け、96 well plateを用いてnephrin reporter活性を増強する化合物のスクリーニングを行った。まずPrestwick Chemical、Calbiochem、Selleck Chemicalsの3社が保有する市販化合物のスクリーニングを行うと、強陽性、弱陽性を呈する多くのシグナルを得た。ビタミンDを陽性コントロールとしてヒット化合物の濃度を1/10、1/100に減らして再現性を検討するとビタミンDの効果は濃度依存性が小さいものの、強陽性ヒット化合物ではシグナルが1/10に減弱しており、元化合物を肉眼で見ると黄色やオレンジ色を呈しており、レポーター蛍光ではなく化合物自体のシグナルを検出している偽陽性であることが判明した。次に765化合物のスクリーニングを行ったところ、40個の陽性化合物を得た。二次スクリーニングを行うと4個の化合物によりnephrin mRNA発現が2倍以上に増加した。スクリーニングの規模を拡大すると共に、化合物の全身投与により、個体レベルで(病的)糸球体におけるnephrin発現を増加させるものがあるか今後も検討を進める。
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