研究課題
臓器線維化の克服は、先進諸国が抱える多彩な健康被害の克服につながる。血管内皮細胞は、サイトカインなどの刺激を受けて間葉系細胞に分化し(EndMT)、臓器線維化に寄与する事が報告されている。オートファジー機構は細胞の恒常性維持に必須であるが、我々は予備的検討でオートファジー不全(Atg5 siRNA過剰投与)が、EndMTを惹起する事を見出した。オートファジー不全誘導EndMTは予想に反して線維性増殖疾患で中心的役割を演じるtransforming growth factor(TGF)-ベータ非依存的であった。この結果はTGF-ベータ阻害を中心に立脚した抗線維化治療戦略の限界も示唆し、EndMT制御を治療標的とするにはオートファジー機構の正常化もしくは、下流のEndMT制御分子を見出す必要がある。本研究の目的はそこにある。培養内皮細胞において、ATG5 siRNAにてオートファジー不全を惹起するとEndMTが生じること、その作用機構にオートクラインに内皮細胞から分泌されるIL-6が関与することを見出した。さらに、内皮細胞特異的オートファジー欠損マウス(Atg5endo; Cdh5-Cre Atg5flox/flox mice)においても、EndMTを介した腎臓・心臓の線維化が惹起され、培養内皮細胞の結果と同様に、血中IL-6の増加を介していることを見出した。さらに、それら線維化は高脂肪食負荷にて増悪した。しかし、IL-6中和抗体にて介入すると、それら線維化が改善されるとともに、代謝異常も改善することを見出した。以上の結果から、内皮細胞のオートファジー機構の保持は内皮細胞の機能保持に重要な役割を果たしていること、内皮細胞オートファジー不全はIL-6依存的にEndMTを介して腎・心臓器線維化に繋がることが明らかとなった。
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