アルツハイマー病(AD)モデルマウスを用い、抗老化作用をもたらすカロリー制限ならびにIRS-2の欠損が、脳のアミロイド蓄積を抑制する分子機序の解明を目的に研究を行った。両モデルマウスにおいてアミロイド斑の主成分であるAβペプチドの脳内での代謝を解析した結果、Aβの産生や分解ではなく、凝集・蓄積の過程が抑制されている可能性を示す結果を得た。IRS-2を欠損した脳においても、インスリン刺激に対する下流シグナルの応答性や既知の抗老化関連シグナルは保たれていたことから、AD病態に抑制的な作用をもたらす分子機構として、古典的インスリンシグナル経路とは異なる、IRS-2特異的な分子経路の存在が示唆された。
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