研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は急速に運動機能障害が進行する神経難病である。ALS患者運動ニューロンではTDP-43の核局在が障害されており、核におけるTDP-43の機能喪失が病態に寄与していることが推定されているが、その詳細は不明である。予備的検討において、ALS患者ではインスリン分泌が低下していることが明らかとなっている。本研究ではインスリン分泌機構におけるTDP-43の役割を明らかにすることを目的として細胞・マウスを用いた解析を行なった。膵臓beta細胞株(MIN6)において、RNAiによりTDP-43をノックダウンしてインスリン分泌機能を評価したところ、インスリン分泌能は、低グルコースKRB buffer (2.8mM) と高グルコースKRB buffer (16.7mM) の刺激を行いHTRF (Homogeneous Time Resolved Fluorescense) 法を用いて上清中のインスリン量 (release) および上清回収後のインスリン含有量 (content) を測定し、release/content (%) を算出することによりインスリン分泌能を測定した。その結果、TDP-43をノックダウンしたMIN6細胞ではインスリン分泌能が低下しており、KCl負荷による検討によっても同様の結果が得られた。全反射照明蛍光顕微鏡(TIRF)イメージングでインスリン分泌を可視化解析したところ、TDP-43のノックダウンにより第一相性インスリン開口放出障害が見られた。さらに、AAV-CreをTDP-43-floxマウスの腹腔内投与することによってマウス膵beta細胞でTDP-43をノックし、糖負荷試験を行なったところ耐糖能異常がみられたことから、in vivoでもTDP-43がbeta細胞によるインスリン分泌に寄与していることが明らかとなった。
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