研究課題/領域番号 |
16K15487
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩部 美紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (70392529)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 食品 / 農林水産物 / 生体機能利用 |
研究実績の概要 |
我々は、肥満に伴って、脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポネクチンが低下し、全身でのアディポネクチン(Ad)/アディポネクチン受容体(AdipoR)の作用低下が、メタボリックシンドローム・2型糖尿病激増の主因であり、その作用を増強させることが根本的な治療戦略となることを示してきた。これまでに我々は、治療の観点から、Ad/AdipoR作用を活性化させる低分子化合物の開発とヒトへの最適化を行ってきている。本研究課題では、これまでの研究成果やスクリーニング技術を利用・発展し、治療ではなく、予防の観点から、生活習慣病抑制を目指し、新規生活習慣病予防法を確立すべく、野菜・果物やその加工品を対象として、Ad/AdipoR作用を標的とする次世代機能性食品の開発に繋がる科学的エビデンスの構築を目的とする。 (1)培養細胞(骨格筋モデル培養細胞等)を用いた抗生活習慣病効果(Ad増加、AdipoR増加、AMPK活性化作用など)を有する植物素材・有効成分の同定:独自のin vitroスクリーニングを経て見出したAd増加素材、AdipoR増加素、AMPK活性化素材(Ad様作用)について、それぞれのモデル培養細胞を用いて、その作用を検討し、物質の特性を考慮した分画を行い、有効成分の絞り込みを行った。 (2)生活習慣病モデル動物(高脂肪食負荷マウス、肥満・2型糖尿病モデルマウス、AdipoR欠損マウス等)を用いた植物素材・有効成分の検証:候補素材を中心に生活習慣病モデル動物を用いて、個体レベルでの作用、特に代謝に重要な各組織(骨格筋、肝臓など)における効果を検討した。検討の中からより有効性の高い植物素材を選抜した。 (3)安全性試験(毒性試験)による食品開発応用への最終確認:(1)及び(2)で得られた結果より、候補となる素材の必要な量の素材もしくは有効成分の確保に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時、予定していた研究項目(1)培養細胞(骨格筋モデル培養細胞等)を用いた抗生活習慣病効果(Ad増加、AdipoR増加、AMPK活性化作用など)を有する植物素材・有効成分の同定、(2)生活習慣病モデル動物(高脂肪食負荷マウス、肥満・2型糖尿病モデルマウス、AdipoR欠損マウス等)を用いた植物素材・有効成分の検証、(3)安全性試験(毒性試験)による食品開発応用への最終確認全ての研究項目について、それぞれ平成28年度に予定していた計画内容について、当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度については、当初予定していた計画内容について、ほぼ達成し、当初の計画通り進展している。そのため、本研究の推進において、研究計画に大幅な変更の必要性は低いと思われ、当初の計画通り、研究を推進する予定である。本研究課題のさらなる進展・加速を目指すべく、研究連携者を含めた各人の実験の精度の向上とスピードアップを図り、目的を早期に達成したいと考えている。
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