研究課題/領域番号 |
16K15490
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (60343480)
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研究分担者 |
宮塚 健 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622363)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 膵α細胞 / lineage tracing |
研究実績の概要 |
近年、2型糖尿病の病態における膵α細胞の機能異常が指摘されており、膵α細胞に関する基礎的検討の必要性が強調されている。膵α細胞の運命を検討する目的では、従来、膵α細胞を標識する目的でGlucagon promoter制御下でeGFPを発現するGlucagon (Gcg)-eGFPマウスが用いられてきたが、新生α細胞のみを標識し、その動態や特徴を解明することは到底できない。 我々は、これまで、細胞を時間軸に沿って解析するための蛍光蛋白質としてDsRed-E5 に注目し、Insulin promoter制御下で このタンパクを発現するマウスを作製、新生β細胞を単離することに成功したが(Miyatsuka T, Watada H et al. Diabetes 2014)、DsRed-E5の緑色蛍光が極めて弱く、蛍光顕微鏡下での観察には不向きであった。 そこで今回、eGFPの明るい緑色蛍光を利用するのと同時にIRESの下流にmRFPを配置し、mRFPの発現量を相対的に低下させることで、eGFPの 緑色蛍光とmRFPの赤色蛍光との発現にタイムラグを生じさせ、FACSおよび顕微鏡下での観察を可能にすることを目指す。すでに、我々は、マウス作成のためのeGFP-IRES-mRFP constructを作成しており、これまでの、in vitroの予備実験では緑色蛍光の発色と赤色蛍光の発色間に6時間以上のタイムラグがあることを確認している。これをCRISPR-Cas9システムを用いてGlucagon遺伝子座に挿入する。 平成28年度は、CRISPR-Cas9システムによる遺伝子改変マウス作製に際して、同実験系に習熟した多田昇弘博士に支援を仰いでいたが、作成できず、東京医科歯科大学との共同研究の末、本コンストラクトが目的の遺伝子座に挿入されたマウスの作成にようやく成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述した通り、目的のマウスの作成に時間がかかったため
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今後の研究の推進方策 |
マウスの作成が遅れたため、申請書に記載した実験をすべて、平成29年度内に行うことは困難であるが、少なくとも、下記、検討を行い、その結果を受け、それ以降の計画していた実験を行うか否かを検討する。 ① Gcg-Timerマウスの胎仔、新生仔および成体より膵臓を摘出し、BD FACSVerseflow cytometerを用いて緑色蛍光細胞数(=新生α細胞数)および黄色〜橙色蛍光細胞数(より分化したα細胞の数)を定量化する。本法により、胎生期のどの段階で、膵α細胞の新生が起きているのか、また、成体膵で膵α細胞新生が起きているのか、その動態が明らかになる。 ② Gcg-Timerマウスの胎仔、新生仔および成体より膵臓を摘出し、PFA固定後、凍結切片を作製する。胎児期においてNeurog3陽性内分泌前駆細胞は膵管構造に近接して生まれ、その後様々な内分泌細胞へと分化することが知られているが、内分泌細胞へと分化した新生α細胞とNeurog3陽性前駆細胞との位置関係に関しては未解明である。Neurog3抗体を用いた免疫染色を行い、Neurog3陽性細胞と緑色蛍光細胞とを同時に観察することにより、内分泌前駆細胞からα細胞へとcell fateを変える過程の法則性について検討する。
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