研究課題
1.糖尿病新規感受性ハプロタイプの同定:1型糖尿病患者428例と非罹患コントロール457例について代表的既知疾患感受性SNPの網羅的タイピングを行った。その結果、17q12-q21のシス制御性ハプロタイプが5歳以下における糖尿病発症リスクに関与する可能性が見出された。この領域は従来低年齢発症喘息の感受性座位として知られていることから、何らかの年齢特異的免疫制御機能を有することが示唆される。一方、欧米人で同定されている疾患感受性SNPの日本人糖尿病への寄与は限定的であることが明らかとなった。2.1型糖尿病における6番染色体メチル化異常の検討:近年、I型糖尿病患者で6番染色体片親性ダイソミーが同定された。われわれは、非低出生体重1B型糖尿病患者58例のパイロシークエンスを行い、6番染色体メチル化異常を有する症例がないことを明らかとした。このことから、低出生体重が6qメチル化異常に起因する糖尿病の中核症状であることが示唆される。3.新規糖尿病感受性遺伝子の発見:2名の1型糖尿病患者を擁する1家系のエクソーム解析を行い、CD101のミスセンス塩基置換が1A型糖尿病の表現型と連鎖することを見出した。次いで孤発例の変異スクリーニングを行い、2例で極めてまれなCD101塩基置換を同定した。CD101はNODマウスの疾患原因遺伝子として知られている。FACS解析では、変異陽性患者の樹状細胞などにおける細胞表面CD101の発現量が減少していることが見出された。以上により、CD101が新規ヒト糖尿病感受性遺伝子である可能性が見出された。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画以上の進展が認められ、論文として成果が発表された。
さらに多数の症例の遺伝子解析を推進する。
CD101の研究が当初予定よりも急速に進展し、さらに競合研究者の存在が推測されたため、研究計画の順序を変更し、2017年度に発表予定だったこの成果を本年度論文として発表した。2017年度は、当初の計画にある他の研究項目を推進する。
次年度使用額となった489,250円と2017年度配分額と合わせて、2017年度の研究計画を実行する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
J Diabetes Investig.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/jdi.12586
Diabet Med.
巻: 33 ページ: 1717-1722
10.1111/dme.13175
https://www.ncchd.go.jp/index.html
http://nrichd.ncchd.go.jp/endocrinology/