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2017 年度 実施状況報告書

新規アプローチによる1型糖尿病発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K15491
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

深見 真紀  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)

研究分担者 綾部 匡之  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生体防御系内科部, 研究員 (80566555)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード糖尿病 / 遺伝子 / 疾患感受性
研究実績の概要

小児期発症1型糖尿病患者と患者家族のDNAを対象に次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行い、下記の成果を挙げた。
(1)継続的にインスリン治療を必要とする 抗体陰性1型糖尿病患者89例の既知MODY関連遺伝子網羅的シークエンスとコピー数解析を行った。その結果、11例においてHNF1A, HNF4A,HNF1B もしくはINSの遺伝子内点変異を同定した。11例中少なくとも3例はde novo変異であった。2例は糖尿病患者である両親から変異を受け継いでいた。ゲノムコピー数異常は同定されなかった。MODY遺伝子変異陽性患者の臨床症状は、他の患者とほぼ同等であった。この結果は、抗体陰性1型糖尿病と単一遺伝子糖尿病が遺伝学的に一部オーバーラップする病態であることを示唆する。一方、日本人抗体陰性1型糖尿病患者ではGCK変異は稀であることが明らかとなった。
(2) 1A型糖尿病患者169例の候補遺伝子シークエンス解析によって、3例でPTPN2機能喪失もしくは機能低下変異を同定した。これによりPTPN2半量不全が糖尿病発症リスクに関与することを見出した。これまで全ゲノム関連解析でPTPN2近傍のSNPが糖尿病リスクに関与することが見いだされているが、本遺伝子の翻訳領域の点変異がヒト疾患患者で同定されたことはない。PTPN2半量不全は、小児期発症1型糖尿病のまれな感受性多型であると推測される。また本研究の結果から、PTPN2遺伝子翻訳領域内疾患関連多型が既報の感受性SNPと関連しない独自のリスクアリルを形成していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画以上の進展が認められ、成果が論文として発表された。

今後の研究の推進方策

小児インスリン治療研究会と連携し、さらに新たな小児期発症1型糖尿病患者の臨床検体を集積する。また、これまでの研究で同定された候補遺伝子の塩基置換の病的意義について細胞実験などによる検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

2017年度に解析予定であった患者家系検体の入手が、患者の診療上の事由のため2018年4月になった。そのため、この家系の解析に使用予定であった解析費用が次年度使用となった。2018年度は、この家系の解析を含め、患者の遺伝学的解析およびin vitro解析を推進する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Protein-altering variants of PTPN2 in childhood-onset Type 1A diabetes2018

    • 著者名/発表者名
      Okuno M.、Ayabe T.、Yokota I.、Musha I.、Shiga K.、Kikuchi T.、Kikuchi N.、Ohtake A.、Nakamura A.、Nakabayashi K.、Okamura K.、Momozawa Y.、Kubo M.、Suzuki J.、Urakami T.、Kawamura T.、Amemiya S.、Ogata T.、Sugihara S.、Fukami M.、the Japanese Study Group of Insulin Therapy for Childhood and Adolescent Diabetes
    • 雑誌名

      Diabetic Medicine

      巻: 35 ページ: 376~380

    • DOI

      10.1111/dme.13566

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comprehensive screening for monogenic diabetes in 89 Japanese children with insulin-requiring antibody-negative type 1 diabetes2017

    • 著者名/発表者名
      Ushijima K, Fukami M, Ayabe T, Narumi S, Okuno M, Nakamura A, Takahashi T, Ihara K, Ohkubo K, Tachikawa E, Nakayama S, Arai J, Kikuchi N, Kikuchi T, Kawamura T, Urakami T, Hata K, Nakabayashi K, Matsubara Y, Amemiya S, Ogata T, Yokota I, Sugihara S
    • 雑誌名

      Pediatric Diabetes

      巻: 19 ページ: 243~250

    • DOI

      10.1111/pedi.12544

    • 査読あり
  • [学会発表] 1B型糖尿病発症における単一遺伝子変異の寄与の解明2017

    • 著者名/発表者名
      牛嶋規久美, 深見真紀, 綾部匡之, 奥野美佐子, 鳴海覚志, 緒方勤, 菊池信行, 菊池透, 川村智行, 浦上達彦, 横田一郎, 雨宮伸, 杉原茂孝
    • 学会等名
      第90回日本内分泌学会学術集会
  • [学会発表] 若年発症1B型糖尿病家系で同定した新規KLF11変異について-KLF11変異の表現型スペクトラムの拡張2017

    • 著者名/発表者名
      牛嶋規久美, 深見真紀, 鳴海覚志, 緒方勤, 浦上達彦, 横田一郎, 菊池信行, 菊池透, 雨宮伸, 杉原茂孝, 川村智行
    • 学会等名
      第51回日本小児内分泌学会学術集会
  • [備考] 研究開発法人国立成育医療研究センター分子内分泌研究部

    • URL

      https://www.ncchd.go.jp/scholar/research/section/endocrinology/index.html

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公開日: 2018-12-17  

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