研究課題
糖尿病性腎症は、本邦の透析導入患者数の第一位を占めており、その新規創薬・治療法の開発は喫緊の課題である。糖質応答転写因子Carbohydrate-responsive element binding protein(ChREBP)はグルコースに応答して炭水化物応答配列(ChoRE)に結合し、解糖系や脂質合成系の代謝酵素の遺伝子発現を調節する転写因子であるが、同因子が糖尿病性腎症の発症・増悪に関与している可能性が近年示唆されている。そこで我々は、ChREBPの活性を制御する化合物を得ることにより糖尿病性腎症の新規創薬を目指すことを着想するに至った。今回我々は、ChoREルシフェラーゼ(Luc)リポータープラスミドをMES13細胞にトランスフェクションした後に抗生物質であるハイグロマイシンでスクリーニングすることにより、ChoRE-Luc安定発現株を得た。同細胞株を用いてハイスループットスクリーニング(HTS)系を確立した後、同系を用いて東北大学化合物ライブラリーのHTSを施行した結果、2個のヒット化合物が得られた。これらの化合物を14週間にわたって糖尿病性腎症モデルマウスであるiNOSトランスジェニックマウスに投与したところ、著明な尿中アルブミンの減少効果が認められた。今後、本化合物の合成展開・構造最適化を進めることにより、糖尿病性腎症の新規創薬を進めていく。本研究の遂行により、糖尿病性腎症の新規治療法の確立を目指す。現在、並行してCRISPR/Cas9システムを用いてChREBPホモノックアウト(ChREBP-/-)マウスの解析も進めている。
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