研究課題
腎遠位尿細管におけるNa排泄の最終調節機構の破綻は食塩感受性高血圧の本態であり、鉱質コルチコイド受容体(MR)や糖質コルチコイド受容体を介した制御メカニズムの解明は治療の開発に直結する。本研究では、マウス腎臓の化学的・遺伝的標識を用いて遠位尿細管の各部位・各種細胞の働きを検討し、新規MR関連因子とその制御機構の解明を行った。腎臓腎臓特異的HSD11B2欠損マウスは食塩感受性高血圧を来たし、腎臓11beta HSD2による糖質コルチコイドの分解が血圧調節に重要な役割を果たすことが明らかになった(Ueda et al. Hypertension 2017)。アンジオテンシンIIはMRS843-Pの脱リン酸化を介してPendrinを活性化するが、その過程にアルドステロンが必要かどうか不明であった。副腎摘出モデルで検討したところアンジオテンシンIIによるPendrinの活性化にアルドステロンが必要であることが明らかになった。ENaC阻害薬を用いた検討により、Pendrin発現はアルドステロンに加えK濃度でも制御されることが明らかとなった(Hirohama et al. J Am Soc Nephrol 2018)。さらに間在細胞MRの役割を調べるため間在細胞特異的MR欠損マウスを作出して検討を進めた。本マウスではアンジオテンシンII投与によるPendrin蛋白の発現増加が有意に抑制され、間在細胞MRがPendrinの活性化に必要であることが明らかになった。また、低食塩食下ではMRを介したPendrinの誘導が抑制される結果、食塩保持機構が障害され体重の減少がみられ、間在細胞MRを介するPendrin活性化が体液保持機構に重要な役割を果たすことが示された。これらの遠位尿細管の検討により、新たなNa保持と食塩感受性高血圧発症機構を明らかにすることができた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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