研究課題/領域番号 |
16K15502
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ストレス顆粒 / G3BP1 / 活性酸素 / G3BP2 / USP10 |
研究実績の概要 |
血液系腫瘍細胞は活性酸素を多量に産生している。活性酸素の高産生は、腫瘍細胞の異常増殖、遺伝子変異の蓄積および悪性形質の獲得などに寄与する。ストレス顆粒はストレスによって一過性に誘導される細胞質内の複合体である。研究代表者は、ストレス顆粒がストレスによる活性酸素の産生と細胞死を抑制すること、この抑制にUSP10蛋白が必須であることを報告した。また、このストレス顆粒の形成に、G3BP1とG3BP2が関与することを報告している。本研究では、ストレス顆粒という、全く新しいタイプの活性酸素制御装置の生体内機能の分子機構およびこの機能不全がどのようにして白血病の病態に関与するのかを明らかにする。 1)全身性のUSP10欠損マウスは造血不全を発症した。また、生後すぐに死亡するマウスが多いことが示された。 2)G3BP1-KOマウスおよびG3BP2-KOマウスの作製を進めている。G3BP1マウスはヘテロマウスを樹立した。G3BP2マウスもG3BP2ターゲティングベクターを導入したG3BP2組換えマウスは樹立した。このG3BP2マウスから、Neoカセットを除去し、CREマウスと交配し、G3BP2-KOマウスを樹立する。これらのマウスを解析することにより、ストレス顆粒、G3BP1,G3BP2およびUSP10の活性酸素産生における生体内機能が明らかになることが期待できる。 3)ストレス顆粒の形成能がUSP10をノックダウンすると低下し、USP10を過剰発現すると低下した。従って、USP10は、ストレス顆粒形成に対して正と負の両方の作用を持つことが示された。 4)G3BP1とG3BP2とでは活性酸素の制御において違いがあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
USP10欠損マウスの解析が進んだ。 G3BP1とG3BP2の欠損マウスが順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)G3BP1, G3BP2および組織特異的USP10欠損マウスの作成を進める。29年度の後半から欠損マウスの解析が行う予定である。 2)G3BP1とUSP10の新しい結合蛋白を同定している。これらの機能解析を通して、ストレス顆粒、G3BP1, G3BP2およびUSP10の活性酸素制御における作用機構を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入等の納品検収は平成28年度内に完了したが,支払が4月となり次年度 となったため
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入等の納品検収は当該年度に完了し,4月に支払は完了している
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