研究課題
自然リンパ球(以下ILC)は、呼吸器、消化管、脂肪組織などの臓器・組織特異的に局在する新たなリンパ球系細胞として発見され、炎症反応を制御することで生体恒常性維持と生体防御に必須の細胞として注目されている。ILCの分化や増殖にサイトカインが重要であることが明らかにされているが、ILCの活性化制御の分子機構はほとんど解明されていない。そこで本研究では、GITR、OX40、CD27およびTRAF5に焦点を当てて、ILC2の機能・活性化制御機構の解明を行う。OX40欠損マウス、GITR欠損マウスおよびOX40リガンド/GITR二重欠損マウスにパパインを鼻腔投与することにより、ILC2依存的なアレルギー性肺炎症を惹起した。その結果、GITR欠損マウスおよび二重欠損マウスにおいて肺炎症が抑制された。したがって、GITRがパパイン誘導アレルギー性肺炎症に重要な役割を果たし、一方、そのファミリー分子であるOX40は同炎症には関与しないことが示唆された。以前より、ILC2にGITRが発現することが知られていたことから、GITRがILC2の活性化に直接に関与する可能性を考え、ILC2を試験管内でIL-33およびGITRアゴニスト抗体で刺激した。その結果、IL-33刺激により誘導されるIL-5およびIL-13の産生が、GITRアゴニストの投与によって、著しく増強された。この結果は、ILC2の活性化にGITRシグナルが関与することを示唆する。しかし、GITRはILC2のみならずT細胞にも発現しているため、生体内のGITRの機能を明らかにするためにはT細胞とILC2を分けて考える必要がある。次年度には、この課題を解決しながらGITRシグナルのILC2の活性化機構の解明を行う予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
GITRがILC2の活性化に直接関与することを証明した。この結果はILC2の活性化制御機構を解明する上で重要な知見である。
順調に進捗しているの当初の計画どおりに研究を進行する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件)
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