研究課題
全身性強皮症の主要3病態に対する各種治療薬の効果の解析として、まず初めに肝線維化治療薬であるグリチルリチンについて、ブレオマイシン誘発強皮症モデルマウス(BLMマウス)と強皮症血管障害モデルマウス(血管内皮細胞特異的Fli1欠失マウス、Fli1 ECKOマウス)を用いて検討を行った。BLMマウスでは、グリチルリチンによって皮膚線維化が抑制されることが明らかとなった。その機序として、①皮膚線維芽細胞におけるTGF-beta signalingを抑制すること、②Th2/Th17優位な炎症環境の誘導を抑制すること、③血管内皮細胞において細胞接着分子の発現を変化させてTh2/Th17細胞とM2マクロファージの浸潤を抑制すること、④血管内皮細胞間葉転換を抑制すること、などが明らかとなった。一方、Fli1 ECKOマウスでは、グリチルリチンによって血管の脆弱性が改善することが明らかとなった。その機序として、血管内皮細胞におけるVE-cadherin, PECAM-1, PDGF-Bの発現を回復させることが明らかとなった。以上の結果から、グリチルリチンは強皮症の主要3病態のすべてに対して、疾患修飾作用を有していることが明らかとなった。以上の結果を踏まえ、現在特定臨床研究として、全身性強皮症患者に対するグリチルリチンの治療効果について前向きに検討を行う予定である。また、並行して他の薬剤についても同様の手法で研究を進めている。
2: おおむね順調に進展している
グリチルリチンが強皮症の主要3病態に及ぼす影響、およびその作用機序が既に明らかとなっており、予定通り進んでいる。
他の薬剤についても同様の検討を行う予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of Investigative Dermatology
巻: 137 ページ: 631-640
10.1016/j.jid.2016.08.037.