研究実績の概要 |
これまでに、Darunavir (DRV) 耐性HIV-1変異株 (HIVDRVRs) に高い阻害効果を発揮する新規HIV-1プロテアーゼ阻害剤 (protease inhibitors; PIs) であるGRL-015, -085, -097及びKU-241を同定、結晶構造解析により阻害機構の解明を行う事で化合物が10-8~10-9 Mの濃度でHIVDRVRsを阻害する為には、HIV-1プロテアーゼ (PR) のflap領域 (Gly48又はGly49等) と相互作用を形成する必要がある事を明らかにした。平成29年度は、更に詳細な分子機構を明らかとする為に新たに同定されたGRL-001の抗ウイル活性の測定と構造解析を行った。解析の結果、HIVDRVRsをより効果的に阻害する為には、PRのflap領域だけでなく、その対面に存在するアミノ酸 (Asp29 & Asp30又はArg8等) とも相互作用を形成する部分構造が必要となる事が新たに解明された。これらの成果は、今後の新規化合物の開発に資する成果である。また、HIV-1の耐性変異の獲得によるPRのflap領域の不安定化を詳細に検討する目的でsurface plasmon resonance (SPR) 法を用いた解析手法の開発を行い、野生型のPR (PRWT) 及びDRV耐性PR (PRDRVRs)を用いて各化合物の結合特性の検出を試みた。結果、PRWTとDRVの結合に関してはPRD25N測定時と同様の溶液条件で濃度依存的なシグナルを検出することに成功した。
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