研究課題/領域番号 |
16K15527
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平家 俊男 京都大学, 医学研究科, 教授 (90190173)
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研究分担者 |
八角 高裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (00511891)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己炎症性疾患 / インフラマソーム / 蛋白質会合蛍光センサー |
研究実績の概要 |
NLRP3インフラマソーム構成分子の会合と複合体形成の過程を、単一細胞レベルで時間的・空間的に解析する系を構築し、炎症性サイトカイン産生機構の解明を行う事を目的で、CAPS疾患特異的iPS細胞株へのセンサー分子の導入を行った。 目的とするタンパク質の会合を評価するシステムとしてNanoBiT Protein:Protein Interaction Systemを用い、NLRP3インフラマソームの構成分子であるNLRP3/ASC/CASP1の3つのタンパク質それぞれのN末端、C末端に発光物質を融合した12種類(発光タンパク質の断片としてNanoLuc1とNanoLuc2の2種類があり、それぞれを3つのタンパク質のN末端、C末端に融合)のコンストラクトを作成した。又、NLRP3/ASC/CASP1それぞれの蛍光標識HaloTag融合タンパク質のコンストラクトも作成した。現在、各コンストラクトをHEK293T細胞に発現させ、会合により最も強いシグナルを出す組み合わせを選定しているところである。選定終了後、蛍光標識HaloTag融合された3番目のタンパク質を発現させて3分子の会合過程を効率よく評価できる組み合わせを決定し、その後、NLRP3遺伝子変異の体細胞モザイシズムを原因とするCAPS患者由来iPS細胞を用い、変異陽性及び陰性細胞に上記のセンサー分子を導入してインフラマソーム分子の会合と活性化の評価実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
A)CAPS疾患特異的iPS細胞株へのセンサー分子の導入 目的とするNLRP3インフラマソーム構成分子の会合を評価するシステムとして、NanoBiT Protein:Protein Interaction Systemを用い、NLRP3/ASC/CASP1の3つのタンパク質それぞれのN末端、C末端に発光タンパク質を融合した12種類(発光タンパク質の断片としてNanoLuc1とNanoLuc2の2種類があり、それぞれを3つのタンパク質のN末端、C末端に融合)のコンストラクトを作成した。又、NLRP3/ASC/CASP1それぞれの蛍光標識HaloTag融合タンパク質も作成済みである。 B)センサー導入iPS細胞からの単球・マクロファージの分化 センサー分子を導入したiPS 細胞が完成していないため具体的な分化実験は行えていないが、iPS細胞から単球・マクロファージ系細胞への分化系は確立しており、CAPS疾患特異的iPS細胞より分化した細胞を用いたin vitroでのIL-1β過剰産生が再現されている。
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今後の研究の推進方策 |
A)CAPS疾患特異的iPS細胞株へのセンサー分子の導入:NanoLuc1とNanoLuc2を融合させた蛋白をHEK293T細胞に発現させ、会合により最も強いシグナルを出す組み合わせを選定し、続いて蛍光標識HaloTag融合された3番目のタンパク質を発現させて3分子の会合過程を効率よく評価できるコンストラクトの組み合わせを決定する。その後、NLRP3遺伝子変異の体細胞モザイシズムを原因とするCAPS患者由来iPS細胞を用い、変異陽性及び陰性細胞に上記のセンサー分子を導入してインフラマソーム分子の会合と活性化の評価実験を行う予定である。 B)センサー導入iPS細胞からの単球・マクロファージの分化:各センサーを導入したiPS細胞株より単球・マクロファージ系細胞への分化を誘導し、センサー未導入iPS細胞より分化誘導した細胞と機能的に差の無い事を確認する。更に、その後のNLRP3インフラマソーム活性化機構の解明へと繋げる予定である。 C)正常及び変異NLRP3インフラマソーム活性化機構の評価と解明:各種センサーを導入したNLRP3変異陽性及び変異陰性iPS細胞株より単球・マクロファージ系の細胞を分化させ、様々な条件下で培養して、NLRP3インフラマソーム構成分子の会合とcaspase 1の活性化につき個々の細胞レベルで時間的・空間的に評価する。これを通じ、正常のNLRP3インフラマソームの活性化機構を解明すると共に、変異NLRP3分子がインフラマソームを過剰に活性化させる機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
CAPS疾患特異的iPS細胞株へのセンサー分子の導入がやや遅れており、必要な試薬の購入費が残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度にはセンサー分子の導入の遅れを取り戻し、NLRP3インフラマソーム活性化機構解明の準備が整う予定である。
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