研究実績の概要 |
現在、研究に用いるconditional-Rorc-/-マウスを作製中である。具体的には, 実験計画書の許可を得たのち, RorγtflマウスとMx1-Creマウスを入手し, 現在繁殖を行っている。Conditional-Rorc-/-マウス作製後は, その表現型を確認したのち, M. bovis BCG(東京株)の懸濁液を足蹠に皮下接種を行う予定である。M. bovis BCG(東京株)の調製について基礎実験を行うとともに, 感染実験を行うための実験環境の整備を並行して行っている。 マウスを用いた実験には当初予定していた以上に時間が必要と考えられたため, 並行してMSMD患者における遺伝子解析を行い, 新たなRORγT異常症の発見を試みる検討を進めた。その結果, RORγT異常症の新規症例の同定に成功した。本症は, 現在までに3家系8症例が報告されているのみの稀少疾患であり, 同定した症例において詳細な機能解析を行い病態解明を試みることを, 緊急のプロジェクトとして開始した。エクソーム配列解析により患者では, RORγTにおけるV24Fホモ接合性変異が同定された。同変異は、過去に同定されているS17L変異と同様に蛋白発現は認めたものの, 標的配列(RORE-1, RORE-2)に対する結合能が完全に障害されている機能喪失型変異と判断した。今後, 患者のCD4陽性naive T細胞からヘルパーT細胞を分化し, 分化段階におけるRORγT欠損の影響を検討する。マウスを用いた研究に並行してヒトにおいての解析を行うことで, 本症患者がマイコバクテリア感染に易感染性を示す分子基盤を明らかとする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を開始するにあたり, 本研究計画について動物実験計画書の申請を行い, 動物実験の許可を得た。実験計画書の許可を得たのち, RorγtflマウスとMx1-Creマウスを入手し, 現在繁殖を行っている。 並行して, 研究期間中にRORγT異常症の新規家系例の同定に成功した。同定された患者も臨床的にMSMDの表現型を呈しており, RORγT異常症がマイコバクテリアに対して易感染性を呈することを示す重要な症例と考え, 緊急のprojectとして機能解析を開始した。患者ではRORγTにおけるV24Fホモ接合性変異が同定された。同変異は, 過去に同定されているS17L変異と同様に蛋白発現は認めたものの, 標的配列(RORE-1, RORE-2)に対する結合能が完全に障害されている機能喪失型変異と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後, 繁殖しているマウスの掛け合わせを行い, conditional-Rorc-/-マウスの作製, pIpCを投与による後天的に血液細胞特異的にRorc遺伝子を欠損させることによる血液細胞, リンパ組織への影響の検討を予定している。 並行して, RORγTの異常を認めたMSMD患者のCD4陽性naive T細胞からヘルパーT細胞を分化し, 分化段階におけるRORγT欠損の影響を検討する研究に取り組むことで本症の病態解明を行う。
|