研究課題
我々は、40年間以上に渡りその原因が不明であった原発性免疫不全症、高IgE症候群の主要な原因がSTAT3のドミナントネガティブ(dominant negative; DN)変異であることを世界で最初に明らかにした。その後の世界的な検討により高IgE症候群の約3分の2はSTAT3の遺伝子異常が原因で発症することが明らかになったが、それ以外の症例の原因遺伝子はほとんど明らかになっていない。最近我々は、高IgE症候群の既知の原因遺伝子に異常が無い症例に、新規の遺伝子変異を見出した。本研究では、新規の遺伝子変異がどのようなメカニズムにより高IgE症候群の臨床症状を引き起こすかを明らかにすることを目的として研究を実施した。高IgE症候群と診断されて当科に紹介された患児を検討した。既知の高IgE症候群の原因遺伝子には異常を認めなかったが、次世代シーケンサーによるエクソーム解析により新規の遺伝子に変異が存在することを見出した。遺伝子変異はスプライシングのコンパウンドヘテロの変異でそのためこのタンパク発現が欠損していることをウエスタンブロッティングにより明らかにした。新たに同様の症状を呈した高IgE症候群の患者50例をリクルートし、その中の1例に同一遺伝子の変異とタンパク欠損を認め、この症例においてもスプライシング変異とタンパク発現の欠損を認めた。モデルマウスを作成し、病態発症機構の詳細を検討した。
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