研究課題
平成28年度は新生児慢性肺疾患(CLD)モデル動物の確立を目的として研究を行った。CLDにおける肺障害の主な要因が酸素毒性であることから、新生仔ラットに生直後から高酸素負荷を行うことでモデルを作成することとした。死亡率、体重増加推移などを参考に投与酸素濃度や酸素投与期間を変更しモデル作成を行った。まず酸素濃度を95%、90%、80%、60%の4群に設定し2週間負荷を行ったところ、生存率はそれぞれ10%、20%、40%、90%であった。次に80%酸素濃度下で負荷期間を7日、14日、28日とし負荷を行ったところ、生存率はそれぞれ100%、60%、10%であった。以上の結果から、安定したモデル作成のための酸素負荷条件を酸素濃度80%、負荷期間14日とした。さらに細胞の投与方法として、静脈内投与と気管内投与の2つの方法を検討した。その結果、気管内投与では投与後の体重減少が著明で死亡率が高率となることから断念し、投与方法は右外頚静脈からの静脈内投与とすることとした。次に組織評価を行い、CLDモデルとしての有効性を確認した。評価として肺組織は肺組織体積密度の測定を、心臓は右室と心室中隔+左室の乾燥重量比(RV/LV+IVS)を測定した。その結果CLD群で肺組織体積密度の減少がみられ(CLD群24.1±1.48、正常群29.2±1.38)、肺組織の破壊効果が確認された。また心臓ではCLD群でRV/LV+IVSの上昇を認め(CLD群0.31±0.034、正常群0.13±0.006)、右室肥大の進行すなわち心臓の肺高血圧性変化を確認することができた。
2: おおむね順調に進展している
慢性肺疾患モデルの作成は概ね順調にすすんでいる。
H29年度慢性肺疾患モデルに幹細胞を投与して、慢性肺疾患の組織学的変化を検討する予定である。
動物モデルの作成が比較的順調にすすんだため、実験動物の購入費が予定額より少なくなったため。
H29年度には、幹細胞の効果を検討するため、当初計画より多くの実験動物を購入して、詳細に検討する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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